国立能楽堂定例公演十二月 胸突 船弁慶

d0226702_09550394.jpg国立能楽堂定例公演十二月
2016年12月16日(金)18時30分より

和泉流 
胸突
シテ(借り手)野村又三郎、アド(貸し手)野口隆行

宝生流 
船弁慶 後之出留之伝
シテ 辰巳満次郎、子方 和久凛太郎、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 則久英志、平木豊男、大日方寛、アイ 奥津健太郎
笛 一噌隆之、小鼓 森澤勇司、大鼓 山本哲也、太鼓 前川光長
後見 宝生和英、山内崇生
地謡 大坪喜美雄ほか


胸突は初めての演目。些細な事故で大げさな症状を言い立てて保険金詐欺に近いことをやる人の昔版。短い話でした。貸し手の野口の来ている長裃の柄、どこかで見たようだと思ったら檜書店の袋の模様だった。
又三郎、東京ではあまり見られませんが面白い。

観世流以外の船弁慶を見るのは今回が初めてでは無かろうか。
弁慶の役を殿田がやるのも初めて見る。最近出番が多いですね。
子方はハンサムな凛太郎君。地謡後列の端にいるお父さんが心配そう。でも、最後まで立派でしたよ。

西国に逃げ落ちていく義経一行。弁慶の勧めで静を置いていくことにする。それを伝える弁慶。静とのやりとりが橋掛かりで行われるけれど、静はただ座っていてもお美しい。さては弁慶のさしがねか?と直接真意を確かめたい静。私は話の流れからして、弁慶が何も言わなければ静は同道できたと思うが、義経と直接話をした静は納得する。

別れの舞を舞う静。金の烏帽子を受け取った弁慶は静かに進めると、静は大小前で準備を始める。
満次郎はさすがの演技。扇の使い方が素晴らしい。
が、この人にはこの着物、ちょっと袖が短いような気がする。そもそも宝生流の着付けって観世とは少し違うような気もするし。

そして囃子の笛に余裕がない。

ま、それはともかく一行は舟に乗ります。
ここのアイは特に小書きが無い場合でも、聞かせどころですね。また義経の世になったら取り立ててほしい、と頼みます。前後の演技の緊張を和らげる面白い構成だと思います。

海の向こうに怪しいやつが。半幕になったところで知盛の幽霊だと、名乗りをあげます。ここと、最後の退場の仕方が小書きの由来だそうです。

    名乗りが素晴らしい。

名乗って地謡が「声をしるべに」と謡ったところで幕は下りてしまう。
そして早笛で再登場。
面は霊怪士(りょうのあやかし)と言うのだそうですが、こういって褒めるのも何ですがまさに水死体。

弁慶が数珠を揉むところ、宝生閑を思い出してしまいました。これから先船弁慶を見るたびに思い出しそうな気がする。
そして祈り倒された知盛は橋掛かりまで引っ込むと長刀を投げ捨て、刀を持って戻ってきます。
が、汐に流されて退散するのでした。

数日後、役者のツイッターで「満次郎さんに『後シテは面が要らないんじゃないか』と言ったら『いや、面を掛けないと子方が怖がる』と返事した」という爆笑のお話が。
しかし、満次郎、すばらしかったです。

前シテの面は孫次郎。

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by soymedica | 2016-12-25 09:56 | 能楽 | Comments(0)
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