国立能楽堂定例公演十一月 木六駄 葛城

d0226702_11575267.jpg国立能楽堂定例公演十一月
11月18日(金)18時より

狂言 大蔵流 木六駄
シテ(太郎冠者)山本泰太郎、アド (主)山本則孝、(茶屋)山本東次郎、(伯父)山本則俊

能 喜多流 葛城 神楽
シテ 出雲康雅、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平、アイ 山本則重
笛 杉市和、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 中村邦生、粟谷浩之
地謡 香川靖嗣ほか


木六駄は大蔵流と和泉流とちょっと違って、大蔵流の方は太郎冠者と伯父が峠の茶屋で出くわす設定で、全体にコンパクトな作りになっているような気がする。太郎冠者が出ずっぱりの和泉流と違ってこちらは雪の日にお使いに行くのを渋った太郎冠者にお酒を飲ませるためにいったん主と太郎冠者が引っ込む演出。
すると、ワキ柱に蔓桶が出される。これは峠の反対側から木の催促にやってきた伯父が茶屋で茶を飲むときに腰掛けるもの。

先にやってきた伯父さんはお茶を飲むと奥に引っ込んで寝てしまう。ここで桶を片付けてしまうのだけれど、他の客は椅子に座らせないつもりなんだろうか…。
太郎冠者が雪の中を牛を引いてやってくる。ここのところも吹雪に飛ばされたりして派手な演出だけれど、和泉流よりも時間は短いのではないだろうか。
茶屋にやってきて楽しみにしてきた「酒が無い」とショックを受ける。
で...茶屋の親父にそそのかされて二人でお使い物の酒を飲んで宴会始める。

ここでたくさんの舞や謡が出てくる。書き取ったものを正確ではないかもしれないけれど、ちょっと書いておきます。

  うきねながらのくさまくら ゆめよりしもやむすぶらん

  うかめうかめみずのはな げにおもしろきかわせかな

    この後に有名なウサギ舞が入って

  きこしめせやきこしめせ じゅみょうひさしかるべき

  はこびかさねてゆきやまよ ちよにふれとつくらん ゆきやまをちよとつくらん

  ざざんざ はままつのおとはざざんざ

やんややんや!
で、太郎冠者は調子に乗って茶屋の親父に木六駄あげちゃう。喜んだ親父は牛引いて行ってしまう。
目を覚ました伯父に、太郎冠者は散々怒られるのだが、
最後に「牛があまり寒いので、のっもーかと」というシャレがついているのは初めて聞きました。

東次郎にじーっと見られながら太郎冠者をやるのは大変だろうけれど、泰太郎の太郎冠者、結構面白かったです。セリフの間の取り方はもちろん東次郎にはかないませんが、何となくおかしみが出てくる熱演でした。


葛城。今回は演出の様々な形という事で、先月に続き「木六駄&葛城」という寒そうな組み合わせなのですが、それ以外でも葛城というのはよく出る曲ですね。
なんて考えていましたが、出だしから囃子がちょっと。
そしてワキとワキツレもvisualは大変宜しいのだけれど、ちょっと。

前半のワキとシテの問答の所が、先月と大きく違うような気がして、今パンフレットの詞章をチェックしたのですが、やはり前半は観世流とはずいぶん異なっていますね。耳で聞く分には喜多流の方が筋を追いやすい詞章のような気がします。面白いですが、ワキ方は大変だろうなー。

そして演出と言えば、シテが出てくるとき手にしているしもと(小枝です)が今回は雪をかぶっている。庵について笠をとるときに後見が雪のないものとさりげなく交換していました。
しもとを焚くときに完全に床に置かないでポトリ、と落としたのは演出なのだろうか、と。なぜ疑問に思ったかと言うと、シテの所作に膝か腰が悪いのではないかと感じさせるところがあったので。中入り前に立ち上がるときもちょっと辛そうでしたし。

ともあれ笛に送られて女は自分の正体をほのめかしつつ中入り。

ここで里人が薪を取りにやってきて、山伏たちに「その女は葛城明神だろう」と教えるのですが、雪山の晴れ間をぬって薪取りにやって来るのに長裃はなかろう。(監督をするような偉い人なんでしょうけれどね)。しかもふもとは雨だったのが、あられになり、雪になり、とかなりの高所。このアイ語りもこのバージョンは初めてのような気がする。

後半の舞ですが、若干硬い感じがしました。舞は観世流の方が好きだなー。大和舞と神楽の違いと言うより、シテの個性の違いだと思う。
そしてこのシテはかなり謡や言葉の重い人で、ちょっと私の葛城の女神のイメージと異なっていました。
いつも喜多流の舞台ははずれないのだけれど、今回は全体としてわたし好みでは無かった。

ともあれ、女神は帰ってゆき、ワキが留めておしまい。


面は増。





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by soymedica | 2016-11-24 11:58 | 能楽 | Comments(0)
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