銕仙会定期公演十一月 菊慈童 茶壺 融

d0226702_17373376.jpg銕仙会定期公演十一月 
2016年11月11日(金)18時より@宝生能楽堂

菊慈童
シテ 鵜澤光、ワキ 村瀬提、ワキツレ 村瀬慧、矢野昌平
笛 藤田貴寛、小鼓 亀井俊一、大鼓 佃良太郎、太鼓 大川典良
後見 観世銕之丞、西村高夫
地謡 浅見慈一ほか

茶壺
シテ(すっぱ)小笠原匡、アド(中国の者)能村晶人、小アド(目代)野村万蔵

融 白式舞働之伝
シテ 野村四郎、ワキ 殿田謙吉、アイ 野村万蔵、
笛 藤田次郎、小鼓 曾和正博、大鼓 國川純、太鼓 三島元太郎
後見 浅見真州、北浪昭雄
地謡 大槻文蔵ほか


菊慈童、途中からだったので簡単に。正先に出された一畳台。飾ってある菊の花が白と黄色と、そして赤。赤いカーネーションかと思った…。
シテは素敵だったけれど、ワキが何となくたどたどしくて残念。シテの面と装束がおしゃれでしたね。
最初から腰を落ち着けて観たかった。
もしかして光はお母さまを越えるかもしれない。

面は是閑作 童子
パンフレットの後半にある松岡心平の「境界の司祭としての菊慈童」が面白いです。


茶壷は、主人に言われて茶壷を持って帰る途中の中国のものが道で酔っぱらって寝込んでいると、すっぱがやってきてそれを取り上げようとする話。仲裁に入った目代の前で、二人がそれぞれ茶壷の由来を謡うのが見せどころ。
能村の酔っ払い、上手だけれど時々正気ですね。ちょっと風邪ひいていたのかもしれない。
最後に能村の舞を盗み見ながらすっぱの小笠原が一緒に舞うという場面。盗み見て舞うので一拍遅れながら舞います。考えてみるときちんと合わせる相舞より難しいでしょうね。
すっぱ(詐欺師)っていつも羽織をきて登場するような気がする。今度注意してみてみようっと。


スーパームーンも近い本日、。僧の殿田が都見物にやってきます。この人、どんどん良くなりますね(前から良かったけれど)。声も良いし。
見まわしていると、向こうから桶 ー担桶(たご)と言うらしいー を右肩に担いだ老人がやってきて、一の松で景色を謡います。
滑り出しあんまりよくないな、と思ってみていると、そこで桶を下ろします。天秤棒がすごくしなります。
私の持っていた本にはシテがここで長く景色と自分の心境を謡うのですが、そこは略されて、いきなり僧が話しかけます。

老人は僧に河原の院について教えながら、「や、月こそ出でてそうらへ」と。ここの間の取り方と調子はさすがです。この後の謡のところは声がちょっと枯れてしまい残念。野村四郎なら、もっと華麗に見せてくれるはず、という期待が大きすぎるのかな。でも、地謡が寂しい荒れ果てた様子を謡うと、伸びあがってあたりを見る様子等の型で風景が浮かんできます。

この爺さん昔を思い出して泣き出しては厄介と、僧は話題を変えてあたりの名所を教えてもらいます。この名所教えのところでも、ぐっと舞台の広さが広がって感じられる。野村もうまいけれど、受ける殿田も上手。向きを変えるところにはいろいろな演出があるらしいのですが(今回はシテがワキの手首を掴んだように見えた)、そういう細かいところはともかく、こうやって広がりを感じさせるというのはどういうマジックなのだろうか。

さあ、夜が更けてきたと、おじいさんは一の松に置いてきた桶を今度は反対の肩に担ぎます。舞台に戻ってきて桶を大きく揺らして汐を汲む。ここも動作がとても大きい。
そして定座で担桶を置いて去っていきます。二の松で膝をついて留めていましたが。

万蔵のアイ語り。この人の語りは格調高いですね。でも重過ぎなくて好感が持てます。

ワキが夢がやってくるのを待ちながら謡う上歌も綺麗。
向こうに融の姿が浮かび上がります。「白式舞働之伝」というのは装束がかわって後シテは初冠、黒頭、上は白地に金の模様、大口は白地にグレーの模様(大きな丸い模様が散らしてあるのは何というのでしょうね)。一の松で私は融の大臣であると歌い上げます。
扇を投げて「あら面白や曲水の盃」で拾うという演出。

白一色に金色が映える装束で舞うので、月の精というイメージ化と思うと、それにしては面がおどろおどろしい。そういえば10月末から11月上旬にかけてはハロウィーンやら死者の日(スペイン語圏中心)だなー、と思いながら眺めていました。
そんなに複雑な構造の冠ではないのに、袖を被いたときにひっかかってしまった。そこはベテランのシテと後見ですから、安心して観ていられましたが。

明け方になってきて融は地謡を背に帰っていきます。

今回動きの大きい演出でしたが、わざわざそうしなくても話のスケールの大きさが感じられる舞台でした。ただ、もう少し華麗な舞台を期待していたのだけれど。

面は前シテが古元作の三光尉、後シテが増阿弥作(伝)の霊神。
写真は東北の塩釜神社です。

[PR]
by soymedica | 2016-11-15 17:47 | 能楽 | Comments(0)
<< 国立能楽堂普及講演十一月 二人... 遠野物語・奇ッ怪其ノ三 >>