茂山狂言会特別公演 五世千作、十四世千五郎 襲名披露公演

d0226702_11412397.jpg茂山狂言会特別公演 五世千作、十四世千五郎 襲名披露公演 
東京公演 2016年10月30日(日)11時より@国立能楽堂

翁 烏帽子祝言
友枝昭世、茂山千五郎、茂山寅真
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 曽和正博・住駒匡彦・曽和伊喜夫、大鼓 亀井広忠、
後見 内田安信、狩野了一、狂言後見 茂山茂、島田洋海
地謡 香川靖嗣ほか

三本柱さんぼんのはしら
大蔵彌右衛門、大蔵吉次郎、大蔵彌太郎、大蔵基誠
笛 藤田次郎、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 大蔵教義、善竹富太郎

語那須なすのかたり
山本東次郎

庵梅
茂山千作 茂山逸平、茂山童司、井口竜也、島田洋海、山下守之、茂山宗彦
笛 藤田次郎、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
地謡 松本薫、茂山七五三、茂山茂、増田浩紀
後見 茂山千五郎、丸石やすし

船中ノ語 宝生欣哉
業平餅 野村萬

二人袴ふたりばかま
善竹富太郎、善竹大二郎、善竹十郎、大蔵教義

小舞
 茂山蓮
土車 茂山鳳仁
吉の葉 茂山竜正

蝸牛 
茂山七五三、松本薫、茂山あきら

小舞
住吉 野村万作
 野村萬斎

花子はなご
茂山千五郎、茂山茂、茂山童司


録音マイクが舞台の下少なくとも4カ所においてある。DVDになるのかな。
満席の満席。さすが襲名公演。狂言しかみないお客さんも多いのか、会場の人に「途中退出したら入れません」(始まる直前に出ようとして)びっくりしたり、「ほんのちょっと遅れただけで入れてくれないのよ」(翁が終わって席にかけながら隣の人に)というちょっとした混乱がありました。

。当然下掛の喜多流。翁は下掛の方が面白いな。面箱の虎真の背が伸びていて予想よりずっと大きくなっていたので後ろからやってくる友枝昭世が膝行しているのかと思った…。
面箱の扱いはしっかり、千歳の舞もとても元気よくできました。
そして揉の段。新千五郎の力の入った舞は泥臭くてしかもカッコイイ。

烏帽子祝言とは何かと思っていたら、後見座で面をつけて出てきた黒尉が、白尉や千歳の烏帽子は何か、と尋ね、自分のは「ふりえぼし」というのだ、という問答が加わる形式でした。そして鈴を受け取り鈴の段へ。
最後は面箱を前に控えていたシテ方の後見のところで面を外します。紐を外す手が友枝とは逆なのは決まりなのか、単に利き手の問題なのか。

ワキ鼓が若いのはいつものことですが、リズムが変わるところで少し乱れましたね。でも、きちんと合わせてくる。
終わると囃子方も全員退場。


三本柱。祝言性の高いもので、初めて見ました。果報者が家の普請のため、山に切っておいた三本の柱を太郎冠者、次郎冠者、三郎冠者にとって来させる。その時、「三本の柱をめいめい二本ずつ持ってこい」という謎を出す。謎を解いた三人と果報者が囃して終わる。最後の見栄のところで拍手したかったけれど、会場は皆演者が橋掛かりに行くまで待っていた。
果報者をやったのが彌右衛門だと思うのだけれど、発語が悪いのと、声が弱いのとで、反対方向を向いたときのセリフが極めて聞き取りにくかった。(次の東次郎の素晴らしい発声のようにやってほしかった。)


東次郎の語那須。何回か聞いていますが、考えてみるとこんなすごいものを複数回聞けたるなんて凄いことだ。そしてこの語那須というのは何回聞いても新しい発見がある。
ということで、ちょっとざんねんだった三本柱のお口直しでした。


次いで庵梅と、いかにもお目出度い話が並びます。これは大した筋は無くて、庵に住まう年取った尼さんのところに女房や娘が歌をみてもらい、梅の花見がてらお酒でも飲もうと、やってくる話。
紅白の混じって咲いている梅の作りものが目付柱におかれます。そして、(中に千作の入っている)庵の作りものが大小前に運び出されてきます。
尼さんは庵の前の梅が満開になったので、皆そろそろやってくるころ、と楽しみにしているのです。
囃子に乗って女たち登場。庵の引きまわしが下ろされ、尼さんが女が聞いているとも知らず、小唄を歌っています。
皆が集まって詠んだ歌を梅の枝にかけたり、酒を飲んだり、尼さん(おりょうさま)も舞を舞ったり。千作はいかにも小さいお婆さんと言う感じでステキ。何だか面がちょっと怖かったですが。
千作、作りものに出入りする時にちょっとひっかかって、やはり去年の骨折がひびいているのでしょうか。
地謡の七五三の謡が凄く良かった。


休みをはさんで宝生欣哉の船中ノ語。会場がザワザワしていて落ち着かなかった。もう少しゆったり聞きたかったのに残念。
さすがに萬の業平餅のあたりでは落ち着いてきたけれど、皆さんあんまりわかっていなかったみたい。餅づくしでとってもおめでたかったのでした。


2人袴。良く出る狂言ですが、聟入りのおめでたい話ですね。今回は富太郎と大二郎の二人で、通常の父と子と言う想定ではなく、兄と弟。見慣れたものとそのほかの所も若干違っていたような気がしました。テンポよく楽しめました。善竹富太郎はだんだん良くなる。


茂山蓮、鳳仁、竜正三人の小舞。ちょっと見ない間に子供って大きくなるものですね。こうやって子供のころからプロ意識を高めさせるのでしょう。皆よくできました。


蝸牛も最後楽しく囃す定番ですが、七五三の山伏装束が派手。黄色の衣に緑の房(梵天)が付いている。ベテラン三人の舞台でそれはそれでよかったと思いますが、この曲はもっと若い子が入った方がぴったりしませんかね。
ともあれ、七五三が最近凄く好きになってきました。


また小休憩をはさみましたが、この辺りになると帰るお客さんがちらほら。「え、花子みないの?!」と思いましたが、お年寄りには長丁場すぎるのでしょう。

万作の住吉と萬斎の。住吉は初めて観るような気がします。万作と萬斎の対比が面白い。円熟と壮年、と言った感じの対比を意識した曲選びですかしらん。住吉の謡の出来が今一つでざんねんでした。


花子。嫉妬深くてわわしい妻をまいて花子に逢いに行きたい夫登場。なぜか長裃の後見も橋掛かりから登場する。もう一人は座禅衾などもって切戸からやってくるのに。
無い知恵を絞ってなんとか一晩逢いに行く方法を考え付いた、それが「離れに籠っての座禅」。嫌がる太郎冠者を身代わりに仕立てておでかけ。
そしてそれを発見した妻が太郎冠者の代わりに衾を被って待っていると、そうとは知らない夫が帰ってきて逢瀬の逐一を妻に語ってしまう、その語りが聞かせどころ。
花子は萬斎で見ていてその印象が強かったのですが、こんなに違うものかと思いました。華やかで芸の細部までの完成を楽しんでもらおうという萬斎。こちらは全体の流れの方を重視している作り。地味な夫が思いもかけない楽しい一夜を過ごしたという雰囲気が伝わって来て「おいおい、聞かせているのは妻だよ」と、よりハラハラします。こっちの方が好きかな。
大曲ということで、物凄く練習するのでしょうが、地でやっているような感じ。
堪能しました。


祝言は猿聟。こんなに長くやるの初めて聞きました。



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by soymedica | 2016-11-03 11:43 | 能楽 | Comments(0)
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