銕仙会定期公演七月 西王母 文荷 善知鳥

d0226702_216543.jpg徹仙会定期公演七月
2016年7月8日(金)18時より@宝生能楽堂

西王母
シテ 長山桂三、子方 長山凛三、ワキ 福王知登、ワキツレ 村瀬提、村瀬慧、アイ 河野佑紀
笛 杉信太朗、小鼓 田邉恭資、大鼓 亀井実、太鼓 林雄一郎
地謡 清水寛二ほか

文荷
シテ(太郎冠者)野村万蔵、アド(主)野村萬、小アド(次郎冠者)能村晶人

善知鳥
シテ 大槻文蔵、ツレ 馬野正基、子方 谷本康介、ワキ 殿田謙吉、アイ 野村虎之介
笛 一噌庸二、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 亀井忠雄
地謡 浅見真州ほか


西王母は初めての曲。そういう品種の桃は食べたことあるが、普通に美味しい桃でした。
まず、宮殿の作り物がワキ座に運び込まれる。一畳台の上に組み立て式の屋根というか天蓋が載っている。

狂言方が「これから有難い皇帝が出御されるぞよ」と。皇帝は周の穆王らしい。皇帝と臣下が登場。ここで囃子には早くも太鼓が使われます。
するとそこになにやら美しい女性が花の咲いた木の枝を持って登場。装束は桃色では無くて、黄色を基調をしていました。桃の精というわけではないから、と納得。

皇帝の御代をたたえる前半、初めて見るためかあまり謡が頭に入ってこず、ピンときませんでした。
そのまま美しい女性は退場。

皇帝は西王母とは何かご存じなかったらしく、河野が教えて差し上げる。

皇帝と臣下は西王母が現れるのを待っている。今回村瀬提の謡、良くなったような気がします。そしてついに可愛らしい侍女を連れた天女(仙女?)が現れる。今回の舞台の写真はFBの「能・狂言鑑賞の会 『桂諷會』長山桂三」にアップされていますが、西王母の装束の色合いが舞台の照明と合ってとても美しい。模様は鳳凰、迦陵頻伽でしょうか。
そしてシテの動きが前半よりがぜん良くなっているような気がしました。静止も綺麗。やはりこの人は注目の人です。

謡はちょっと角の立った感じ、と言ったらわかるでしょうか。これはこれで明るい感じでした。囃子も満足でしたが、笛はもう少し陰影の有った方が私は好きです。

面は増女 洞水作。


文荷は稚児狂いの主にラブレターを届けろと言われた太郎冠者と次郎冠者が「ケッ、これ持ってくの嫌だぜ」とか言ってわいわい騒いでいるうちに破いちゃう、っていう話。最後に主人に見つかって破った手紙を「お返事でござる」とごまかそうとして怒られる。今回、「手紙を持ってくのがいやだ、こんなエンガチョなもの」という感じが凄く伝わってきて笑った。


さて、人気の大槻文蔵の善知鳥。おばさまが「とてもハンサムなのに面をかけているから残念なのよ」とお友達に解説。ほほー。
地謡後列の平均年齢がぐっと上がる。

ツレ、子方は最初から舞台に。ツレの地味な衣装が素敵。そして最後にアイが橋掛かりに座ります。ワキの僧が立山にやってくる。殿田、また感じが変わって一段と上手くなった感じ。下宝は宝生閑の逝去で皆さん決意を新たにされたのでしょうね。
そこに怪しい老人が。

「外の浜に行くのなら、妻子の家に行き、蓑笠を手向けてくれと頼んでくれ」という老人。袖を破るところ、柱の陰で見えずに残念。

ただそれだけの手がかりで外の浜に行く僧。
地元の人に家を教えてもらいますが、本当に家を教えるだけの短いアイでした。
未亡人と子供の家では未亡人が悲しいつぶやきをしています。ここのツレの馬野が本当に上手。舞台に貧しいあばら家の生活が見えてくるようでした。

そこに旅僧が衣の袖を持ってやってくる。家にある衣と合わせるとぴったり。(え、じゃあ家に置いてある形見の衣は片袖が無かったのだろうか???)

するとそこに猟師の幽霊が現れる。大槻文蔵、すらっとした体格で損をすることも多そうだけれど、この役がらにはふさわしい体形。そしてやはり上手。どーんと重い主題なのだけれど、シテ一人が悲劇の主人公になっているというよりも、舞台全体が東北の冬の様に見える。それには地謡も囃子も関与してはいるだろうが、やはりシテの力量ではないかと思う

現代なら与えられた条件の中で仕事を熱心にするのは称賛されこそすれ、非難されるようなことではないでしょうに。シテ柱のところに座った猟師は殺生に熱中していたことを懺悔します。

そしてカケリに。緩急があってとても良い。これは囃子との息がぴったり合って双方が巧者でないとできないことではないかしらん。ここで初めてじっくり面を見ることができましたが、これがなかなか良い面。

雛を獲ると親鳥が空から血の雨を流す。それを遮ろうと蓑笠を着て、と橋掛かりへ。橋掛かりから舞台に笠を投げます。ここも見せ場ですが、何となく無くても良かったかな。
そして猟師は後生を願って消えていきます。

面は前シテが作者不詳の木賊尉、後シテが痩男、古元休、ツレは臥牛氏郷の深井。


西王母はおめでたい脇能で、善知鳥は四番目もの、という事でこの順番なのでしょうけれど、何となく逆の方がおさまりが良くありませんかね。駆け込んできて動きのある、ドラマチックな話を見てから、おめでたい気持ちになって帰る、って。ダメかな。
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by soymedica | 2016-07-11 21:08 | 能楽 | Comments(0)
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