第十三回萬歳楽座 翁 天の川風流 高砂

d0226702_12503774.jpg第十三回 萬歳楽座
2016年4月19日(火)18時30分より@国立能楽堂
正面席


翁 観世清和 三番三 山本東次郎、千歳 観世芳伸、面箱 山本凛太郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓頭取 大倉源次郎、脇鼓 田邊恭資、清水和音、大鼓 亀井弘忠、太鼓 観世元伯
後見 木月孚行、上田公威
地謡 観世銕之丞ほか計8人

天の川風流
織女 山本則秀、牽牛 山本則孝
後見 若松隆、山本泰太郎
地謡 山本則俊ほか計10人

半能 高砂
シテ 大槻文三、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 御厨誠吾、大日方寛
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 山崎正道、川口晃平
地謡 観世銕之丞ほか計8人


面箱を先頭に一同ぞろぞろと入場。の始まり方って好き。凛太郎は何回目なんだろうか、いささか緊張した面持ち。観世清和は平常心。秋篠宮の結婚式の時の紀子&さーやみたい。
三番三の東次郎は上座に片膝たてて座っているのだけれど、その様子がものすごくきれい。橋掛かりには狂言地謡がずらー。この人たち、シテ方の地謡が帰ったら入れ替わるのかな、と思ったら最後まで橋掛かりにいました。

千歳の舞のうちに翁は面をつけ始める。何もしない大鼓が横向いたり前向いたりするのは何か意味があるのだろうか。初めて気づいた。
観世芳伸の千歳、何となく元気が無いように見えたけれど。
そして家元の翁。慣れているし、さすがに型がきれい。でも最近オーラが少なくなったような。

この間、東次郎は後見座で烏帽子を剣先烏帽子に替える。

舞終えた翁が面を取るのだけれど、この一連の作業がものすごく慣れを感じさせる。扱いなれているな、という安心感とその場の緊張のバランスがうまく取れている感じ。
最初と同じように正先でお辞儀をした翁は千歳を従えて帰ってしまいます。このときの小鼓、頭取が小さな声で掛け声をかけているのに初めて気づきました。

そして東次郎の揉ノ段。初めて見ましたが、万作、萬斎の三番叟とは全く違っている。流儀が違うこともあるだろうし、家の性格もあるのでしょうが、舞踏よりは祝祭性を大きく感じさせるもの。一般受けはしないだろうけれど(つまり、ホールでやるには不向き)、素晴らしかった。

凄いなー、とみている間にシテ方の地謡退場。後見もシテ方と狂言方とで交代。
舞終わって黒式尉の面をつける。「汗かいているだろうに大変だろうな」(後見がもちろんお拭きしますが)と思っているうちに、例の面箱持ちとの問答が始まる。鈴をもったけれど、いったいどこが天の川なんだ?と思ったら、太鼓の音がしたら「あら笑止や」と面を取ってワキ柱のところに座ってしまいます。

なになに?と思っていると橋掛かりの所に派手な男女が。女はなんと乙の面。糸巻を持っている。男は牛をひいている。これは棒の先に角を付けた黒頭がついている、と言ったらわかっていただけるでしょうか。西洋の子供の持っている馬の頭のついたおもちゃのノリですね。
東次郎が出て行って「誰?」と尋ねると、牽牛と織女と名乗った後に「能を見に来た」と。ワキ柱のところで鬘桶に腰掛けて二人の由来を話してくれます。

そして東次郎の鈴之段。これも楽しいのですが、それに続いて牽牛と織女が舞います。織女の天冠には小さなカササギが橋を作っています。この二人の相舞は何となく末社の神の舞みたいで楽しい。

地謡が謡いだすのですが、あんまりうまくない。真ん中の人は途中飽きちゃったのか姿勢崩してるし。
終わって東次郎が礼をすると牛にまたがった牽牛と織女は帰って行きます。

全体として華やかで楽しい舞台でした。でも、これなんだろうと思ったら、次の解説で説明してくれました。


今回は最初ではなく、間で藤田六郎兵衛の解説が入ります。
「風流」というのはいくつかあって、有名なのは「蟻の風流」これは「よろこびありや」と謡うと「呼んだ?と蟻が出てくる」という凄いダジャレ。
「餅の風流」というのは餅を頭に載せた役者が出て来るもの。六郎兵衛いわく:
私はこれを大阪でやらせていただきました。千作さんで。あの千作さんが鏡餅を頭に載せて出てくるんですよ。…みちゃいけない。見たら噴き出して笛なんか吹けないですよね。


楽しい解説のあとは、藤田の笛で熊本の震災の被害者を追悼。


半能の高砂
シテが梅若玄祥から大槻文蔵に変更。どうしちゃったのかしらん。玄祥、道成寺でふらついたという話だし、体型からして冠動脈か。脳梗塞?などと考えているうちに宝生欣哉一行が名乗り。そしてあの有名な「高砂や」に続いて行きます。

華やかでおめでたい雰囲気。大槻文蔵ってかっこいいけれどちょっと迫力に欠けるな、という気が時々するんですが、住吉明神なんていうのはこういう品の良い人がよろしい。途中袖紐が冠に引っかかってしまうという場面もありましたが、(何となくそうなるのではないかという予感がしたのは何故)そこも後見の助けですーっとクリアーしてしまうベテラン。

こんなにきれいなものがあるのだから、熊本も日本も大丈夫さ、と思えた一日でした。
ちなみにこの萬斎楽座の第一回目は震災の年の4月1日。休止していた国立能楽堂再開の初日公演だったそうです。

次回は10月13日。
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by soymedica | 2016-04-26 12:52 | 能楽 | Comments(0)
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