国立能楽堂定例公演三月 附子 小塩

d0226702_8325916.jpg国立能楽堂定例公演三月 
2016年3月18日(金)18時30分より
正面席

狂言 大蔵流 附子
シテ 山本則俊、アド(主)山本泰太郎、(次郎冠者)山本東次郎

能 金春流 小塩
シテ 金春安明、ワキ 森常好、ワキツレ 森常太郎、館田善博、アイ 山本則重
笛 一噌庸二、小鼓 幸信吾、大鼓 安福光雄、太鼓 三島元太郎
後見 辻井八郎、井上貴覚
地謡 高橋忍ほか


遅れていったので、狂言は見られず。
金春流は久しぶり。そしてもっと久しぶりだったのは森常好。美声を聞いてしみじみ最近ご無沙汰だったと感じ入る。
若い者二人連れて花見の宴会でもしようかという一行。そういえば森って出だしの表情がいつも固いなー。花見なんだからもうちょっとウキウキしても。
と、あちらに群衆に交じってひときわ目立つ桜をしょった老人。

この桜が、植物学的にちょっとどうか??という作りでものすごく気になったのですが、ま、華やかでよろしいか。
この老人(といってもきっと想定年齢は私くらいだと思うと若干引っかかる)が意外に教養高く、風流。よーく見ると襟が赤い。
年寄りのわりに意外に所作が多いんですが、「老いかくるやとかざさん」で桜をもってすーっと立ち上がるところが印象に残るほどきれいでした。

老人は桜をふっと投げ捨てると消えてしまったのでした。
お酒好きの一行ですから、今のは酔っぱらっての幻だったのか?と。
それに中入りするときのシテの背中が老人というにはあまりに美しいし。

アイ語りはそのまま小塩神社(大原野神社)の縁起となっているようです。
ふと気づくと男性客が多い。国立はほかに比べて男性のお客さんが多いような気がするのですが、そのなかでも観世だと女性客が、そのほかだと男性が多いような印象。

あの不思議な花序の桜を前後左右に付けた赤い車が出されます。
後シテは貴公子、在原業平の幽霊。中将というのは貴公子だそうですが、何度見ても慣れることはあっても美男には見えない…。前シテの時には声が老人の面とミスマッチだな、と思ったのですが、このシテの声質が後シテの在原業平にぴったりはまる。そんなに若くはないシテですが、艶やか。

赤い車が華やかできれいなのに、春宵一刻…というところで業平が車から降りると片付けられてしまうのでちょっと残念。

後半、美男とは思えない中将の面のシテを見ていると、だんだん「貴族の色男はこうでなくっちゃ」と思えてくるから不思議。この人は舞も謡も優雅だなー。
そして自分の華やかな頃の姿を存分に見せた業平はみんながまどろんでいる間に消えていくのでした。

ところで、初冠の下はご自分の髪なのでグレーが相当見える。実は男性が髪を染めるのは好きじゃない私で、地謡後列の髪の毛が真っ黒だとちょっと気になるんですが、最盛期の業平を自毛で演じるのだったら染めてもよかったのじゃないだろうか。おいかけが真っ黒だし。

序の舞の前あたりからワキ連れの森常太郎がしょっちゅう向きを変えて座りなおす。具合でも悪かったのだろうか(以前は最後で立ちにくそうにしていても、その前に動くことはなかった)。普段動かないワキツレが動くと相当気になるものですね。
地謡、囃子、主張しすぎずよく調和していました。

この小塩、たぶん観るのは二度目だと思います。本当に能の曲が楽しめるのは3回目くらいからかな。でも、本日のように春は来たけれどまだちょっと夜はコートが欲しいね、くらいの気候に観るとホンワカする曲です。

面は前シテが三光尉、後シテは中将。
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by soymedica | 2016-03-24 08:35 | 能楽 | Comments(0)
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