都民劇場能 二人袴 鷺 福の神

d0226702_1775676.jpg都民劇場能 
都民劇場創立七十周年記念公演、都民劇場古典芸能鑑賞会第100回
2016年2月25日(木)18時より@宝生能楽堂 
中正面

狂言 和泉流 二人袴
シテ(聟)野村萬斎、(親)野村万作、アド 石田幸雄、竹山悠樹

能 観世流 鷺
シテ 野村四郎、王 観世清和、ワキ 野口敦弘、ワキツレ 野口能弘、野口琢弘、吉田祐一、則久英志、大日方寛、輿舁 館田善博、殿田謙吉
アイ 深田博治
笛 一噌庸二、小鼓 亀井俊一、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 観世芳伸、上田公威
地謡 木月孚行

狂言 大蔵流 福の神
シテ 山本東次郎、アド 山本泰太郎、山本凛太郎
地謡 山本修三郎、山本則重、鍋田和宣


公演100回目にして都民劇場創立70周年目でもあるという大変にお目出度い今回。演目もそれにふさわしい。
かなーり久しぶりの中正面でしたが、ここの中正面はなかなか見やすい。

二人袴。開始の時に少しだけ見所の明かりを落とす(それが始まりの相図にもなる)会と、そのまま始める会がるけれど、今回はそのまま。とはいえ、本日のお客さんはもともと静か(お稽古の会の発展形だとうるさい)。
聟の名乗りは「舅にかわいがらるる聟」と「人のいとしがる聟」と2タイプまでは覚えたけれど、ほかにありましたっけ。本日は「舅にかわいがらるる」の方。しかしこの聟、侍烏帽子に着流しとはちと変。しかもどうも腰のあたりがもたつくと思ったら、長袴を折りたたんでしょっていたのですね。

大蔵流だと「えのころを買ってくれ」などと言って幼さを強調しますが、和泉流のこの聟はなんとまだ袴をはいたことが無い…。初めての長袴を父親にはかせてもらってギクシャクと聟入り。

大蔵流と色々違うところはあるけれど、妻が最近「青梅を好く」というところは同じ。しかし、萬斎、万作の親子、上手い。ベテランの石田も近ごろ頭角をあらわしてきた竹山も食われっぱなし(まあ、そういう曲の作りではありますが)。

一枚しかない袴を二人で分けて、後ろを見せずに舞う。挙動不審をとがめられると本日は「さすがみ(天一神)」があって回れない、という不思議な言い訳。
最後にばれて恥ずかしがって帰ります。


本来関根祥六が舞うはずだった。野村四郎が急遽代役。昨日の対談にも出られなかったくらいですから関根祥六、大丈夫だろうか。インフルエンザ程度だと良いのですが。
私は野村四郎ファンなのでそれはそれでラッキーでしたが。

まず深田が神泉苑への帝のお成りを告げます。深田、ちょっとやせたかな。そして何だかハンサムになった感じ。
帝は輿舁の他にも6人もつれて凄いものです。普通の烏帽子が3人、風折烏帽子が2人、侍烏帽子が一人。帝を称える同吟がきれい。あんまりワキの大勢の同吟がきれいと思うことは無いのですが。

どこか遠くの正面席で誰かの補聴器のハウリングがうるさい。ああいうのは隣の人が注意して追い出すべきだと思う。

謡を聞くと今は夏らしい。
帝が神泉苑の風景を楽しむ謡を。観世清和はさすがに風格がある。
この場に何となく調和しないのが小鼓。

と、鷺が飛んでくる。一の松から一行を見渡す。野村四郎、このかぶりものだとお顔がふくよかに見える。この演目はごく若い演者か還暦を過ぎたベテランに限る、と言うのが良くわかる。さらっと演じてしかも上手で無くてはいけませんよね、ぎらぎらした「上手くやってやるぞ」という感じを出さず。それが野村四郎にピッタリ。

あの鷺を捕まえよ、という帝の命で野口がやってくる。小柄な野口が一生懸命捕まえようとするのが視覚的に面白い。
鷺は知らん顔で三の松へ。
「勅諚ぞ!」と言われると大人しく一の松のところに下居。後ろから吉田が捕まえて舞台に連れて行きます。
なかなか楽しい。

これはめでたいことだ、とお酒を飲みかわし、蔵人にも鷺にも位が与えられます。
鷺は喜んで舞います。
この舞、鷺ですから片足立ちが多い。やはり関根祥六では無理だったのではないでしょうか(別の型付けもあるのかもしれませんが)。
最後に鷺は放されて皆楽しく退場。

地謡も良かったし、満足の一曲でした。
ところで最前列の関根祥丸くん、背が高い青年になっていてびっくり。


福の神はひたすらお目出度い狂言。と言っても鷺などとは違い、もっと身近な楽しさ。
年越しのお参り(と言っても節分の年越しです)にやってきた二人組。どこからともなく楽しそうで派手ないでたちの爺さんが笑いながらやってきて、「福の神だ」と名乗る。そして二人に楽しくなる秘訣を教えてくれる。色々ある秘訣の中で重要なのが、「福の神にお酒を捧げること」。
後ろの謡、山本則重以外の二人がちと…。
でも、ひたすら楽しく華やかな舞台でした。ネットで「福の神」をひいたら。千作(四世)が直面でやっている写真が。東次郎も直面でも良かったかも。


こんな目出たい曲なのに祝言がついていましたが、何の曲だったんだろう。
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by soymedica | 2016-03-02 17:11 | 能楽 | Comments(0)
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