銕仙会2月定期応援 盛久 樋の酒 胡蝶

d0226702_836238.jpg銕仙会2月定期公演 盛久 樋の酒 胡蝶
2016年2月12日(金)18時より@宝生能楽堂

盛久
シテ 西村高夫、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ(太刀取)則久英志、(輿舁)野口能弘、御厨誠吾、アイ 河野佑紀
笛 藤田次郎、小鼓 後藤嘉津幸、大鼓 國川純
後見 清水寛二 永島忠侈
地謡 観世銕之丞ほか

狂言 樋の酒
シテ(太郎冠者)野村萬、アド(主人)野村虎之介、小アド(次郎冠者)野村万蔵

胡蝶
シテ 安藤貴康、ワキ 大日方寛、アイ 能村晶人
笛 寺井宏明、小鼓 古賀裕己、大鼓 柿原光博、太鼓 小寺佐七
後見 鵜澤久、山本順之
地謡 馬野正基ほか


盛久は初めて見る演目です。まず囃子無しでシテが登場。輿には乗っている体ですが、被り物も無く、輿の色も地味。捕虜ですからね。この輿舁の装束の模様が二人一組の柄でなかなか凝っていました。
シテの盛久が土屋三郎の護送で鎌倉に送られる。盛久がまず京都で清水の観音様にお参りしたいと願うと、それは紳士同士のこと、土屋三郎も許す。西村はなかなかハンサムなので直面の役が映えます。

春の清水寺を立って、鎌倉に護送されます。この道行の地謡, 西の方の地名がやたらと細かく謡いこまれているのは伝統的な名所観なのでしょうね。なぜか若干一人地謡でテンポがずれているひとがいましたが、全体として地謡が非常に綺麗でわかりやすかった。
西村の謡もわかりやすいので、楽しい。

由比ヶ浜で処刑される前に土屋に礼を言う盛久。この曲は観世十郎元雅の作だそうで、この時代の人の考える立派な武士道が反映されているのか。源平の戦いの時代はもっと何でもアリだったのでは、というのは私の辺ケンカ。
長々お経を唱えたりするところも結構聞かせます。
そして、いざ処刑、となると太刀に有難い光線があたって(観音ビームですな)、真っ二つに。ここは、従者が後方から太刀を盛久の前に投げる形で表現されます。

「おお、これはどうしたことか」「観音様のご利益か?」とアイが解説。なかなか良い語りだったのですが、セリフが短く、物着がやや遅れ気味。
物着と言っても、烏帽子、直垂をつけるだけですが。

服装を整えた盛久と土屋は頼朝の御前へ。これは、頼朝が実際に出るわけではなく、正面席あたりにいらっしゃると言う形で表現されます。
そして地謡が前の晩盛久と頼朝が同じ夢を見ていたのだ、という奇跡を歌い上げ、二人と(そしてワキー観客たちも)観音様のありがたさに感動します。

命拾いした盛久は頼朝にお酒まで振舞ってもらい、かっこよい舞を舞って退場します。
めでたしめでたし。

この曲好きだな。


樋の酒。この前に休憩かと思ってホールに出てしまったので慌てて戻る。萬以外でこの曲を観る機会が無いのだけれど、なかなか楽しい曲です。
萬と万蔵の掛け合いが楽しい。そして、最後に未練たらしく萬が酒を飲むところで会場爆笑。狂言はこうでなくっちゃ。


若手が青山能から銕仙会へ、というのは緊張するものらしい。胡蝶。前回観たのは鵜澤光。実のところ、前回も今回も、この曲がなぜ面白いのかわからない。小品で舞もあるし、たとえていうなら綺麗な宝石箱、というイメージの曲なのかもしれませんが。

正先に紅梅の作り物が出されます。
よく見ると地謡の観世淳夫の座っている位置が高い。前は一番笛柱よりだったのに。この曲に何回か経験があるとか、そういったことで決めるのだろうか。

なんだか出だしの笛が今一つでしたが、すぐに持ち直す。ワキ僧の大日方が京都見物にやってくる。何だか由緒ありげなお屋敷の梅。見惚れていると遠くから「のうのう」と声が。この「のうのう」が物凄く長くて、曲のイメージと合わない。そして橋掛かりのところでの謡にちょっと躓いたのではないか?

お召し物は(後シテもだけれど)オレンジ系統でまとめた小面のお嬢さん。屋敷のいわれや、実は自分は胡蝶の精で季節的に梅の花には会えないのだ、などと語る。この人の謡、音程も節回しもしっかりしているのに発声に難があると思う。

ともあれ、色々語った胡蝶の精は僧に供養を頼んで消えてしまう。
そつのないアイ語りが終わり、僧が待ち受けている。この大日方も真面目なんでしょうね。「きちんとやらなきゃ」という気持ちが伝わってくる。
そして胡蝶の精が出てきて舞を舞う。シテはかなーーーり、緊張していたのではないだろうか、物凄く硬く感じられる舞でした。袖の扱いなどきっちりしていて、真面目な人柄をうかがわせる舞台でしたが、もっと楽しくやってほしいな。

若い地謡陣。扇をとるたびに派手に伸び上がって足を緩めるのが(気持ちはわからないではありませんが)あまりに目立つと気になります。あれは歳をとると慣れるのでしょうか。盛久の地謡陣はあそこまで派手にやらなかったと思う。

ともあれ、シテとワキに思わず「お疲れさまでした」と声をかけたくなってしまうような舞台でした。

この曲、ベテランで観てみたい。
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by soymedica | 2016-02-16 08:38 | 能楽 | Comments(0)
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