国立能楽堂一月特別講演 鱗形 舟船 唐船

d0226702_18233332.jpg国立能楽堂一月 特別公演 
2016年1月31日(日)13時より
正面席7700円

能 金剛流 鱗形
シテ 廣田幸稔、ワキ 高安勝久、ワキツレ 小林努、丸尾幸生、アイ 松本薫
笛 槻宅聡、小鼓 林吉兵衛、大鼓 谷口正壽、太鼓 観世元伯
後見 金剛永謹、豊嶋幸洋、今井克紀
地謡 豊嶋晃嗣ほか

狂言 大蔵流 舟船
シテ 善竹忠重、アド 善竹十郎

能 観世流 唐船 盤渉・手掛之応答
シテ 武田志房、子方(日本子)武田章志、長山凛三、子方(唐子)藤波重光、馬野訓聡、ワキ 福王和幸、アイ(箱崎の従者)大蔵吉次郎、(船頭)大蔵千太郎
笛 藤田次郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 國川純、太鼓 桜井均
後見 武田宗和、武田尚浩、武田友志
地謡 浅見真州ほか


鱗形のアイが末社の神から所の者へ、唐船に盤渉・手掛之応答の小書きが(笛方のものだそうです)。既にプログラムはこのようになっていたので、急な変更と言うわけではなさそう。

鱗形は金剛流廣田家で大事にされているそうですが、地謡も後見も重鎮が勢ぞろい。北条時政が江ノ島に参詣すると、弁財天が現れ、三鱗形の旗を与え一家の加護を約束する、とそれだけの筋で短い。
昼に蕎麦屋酒して行ったので何となくうとうとしながら観るのにふさわしい小品でした。

ワキの高安、歩みがよたよたなんですが謡は良かった。そういえば宝生閑、亡くなったんですねー。直前まで全国の舞台を務めて、移動は車いすだったそうです。
地元の女が北条時政に声をかけて、実は私は弁天様よ、と大小前の一畳台の上に置かれた宮に入って行くところはお約束なんですが、社殿の作りものに入る前から中で準備している人が忙しいのか、引き回しが大きく揺れてちょっと見苦しかった。

引き回しがおろされると、中からは鳥居の冠をつけた女神さまが。時政に与える三つ鱗の旗を持っています。オレンジに金の三つ鱗の旗で派手派手しいのですが、何となく形状はかき氷屋さんの旗のよう。

女神はめでたい舞をまって帰って行きます。最後に扇を閉じてシテの後ろ姿が明らかに「ホッとした」というようにツキものが落ちたようなのが面白かった。


この二人で舟船かー、と思ったらこれが意外に(失礼)面白かった。和泉流のほどしつこくないのだけれど、何となくホンワカして楽しかった。


そして唐船。今日のチケットが高いのはこの登場人物が多いせいか?(子供だけど…。)最近講談社の日本の歴史シリーズ(第一巻が旧石器ねつ造事件の真っただ中に刊行されて回収騒ぎになった)の「周縁から見た中世日本」を読んでいたら、この「唐船」に言及されていて、なんだか旧知の人物に会ったようで嬉しかった。

で、今回の箱崎の某は福王和幸。何となく本日は印象が薄い(いつも体格の割には薄いかな)。従者の吉次郎、この人のしゃべり方は最近の黒柳徹子の様だ。
何といってもこの能のみせどころは可愛い子方。13年前に中国においてきた子供と日本の子供が同じ年なのは御愛嬌だけれど、同い年で良くお稽古のできた子方をこれだけ並べられるというのはすごい。最後船の中でなにか不具合があったのかひとりモソモソしていたけれど。

日本子のほうがどっちかというとソース顔(古いかな)で、唐子の方が古典的な日本の悪ガキ。どちらも謡も上手だし、きちんとできて凄い。
今回は唐子が日本にやってくる場面で橋掛かりでも舟は帆をあげてくれました。前回の銕仙会の時とはちょっと色合いが違って紫、黄、緑、朱、緑、黄、紫、と、挙幕の様でした。

今回は中国人船頭は中国語をしゃべらない。あれは名古屋の野村家のものなのだろうか。

日本の子は置いて行け、という箱崎の命令に悩んで身投げしようとする祖慶官人。
箱崎もその嘆き様に心を痛め、じゃあ皆で帰って良いよ、と。
船の中で喜びの舞を舞う祖慶官人。前回の大槻文蔵の方がここは嬉しさがにじみ出る舞でした。今回はどちらかと言うとまじめに訥々と。

今回は日曜のせいかいつもとお客さんの層が違う感じ。終わって感想を述べ合うお友達同士のお客さんがいない。男性一人客が多かった印象でした。


面は鱗形が増、唐船が阿古父尉あこぶじょう。
[PR]
by soymedica | 2016-02-03 18:27 | 能楽 | Comments(0)
<< 本:狂言のすすめ 国立能楽堂一月企画公演 松囃子... >>