喝食抄 堂本正樹能劇評論集 ペリカン社
1993年11月1日初版第一刷 287頁
定価3000円(税込)とありますが、絶版です。
いやあ、面白かった。評の書かれた時代がちょっと古いので、今の名人が売り出し中の話が満載。友枝昭世が道成寺のひらきのときに鐘入りのときに頭を鐘のてっぺんにぶつけてその後入院したとか、戦後間もなく作られた装束をそれと知らず「伝来」と有難がる能役者の話とか。
そして今当たり前と思っている作り物の出し方とか型付けが、この時代には新しい試みだったらしいということもわかって面白い。
色々な雑誌に書かれた評論やエッセイのまとめ。そのうち「橘香」は梅若の雑誌ですがその「芸能」「テアトロ」「プリズム」毎日新聞などは、能楽の媒体ではないので、かなり辛口になっています。家元制度にかなり辛口なこの人。観世清和を実力者登場とも認めていますが、とっても叩かれている人も(笑)。
手に入ったら是非読んでみてください。
巻末にかなり詳細な索引があるのが有難い。