第72回野村狂言座 八幡前 川上 米市

d0226702_2154438.jpg第72回野村狂言座
2015年12月3日(木)@宝生能楽堂
正面席7000円

解説 野村萬斎

八幡前
聟 三宅近成、舅 三宅右近、太郎冠者 高澤祐介、教え手 三宅右矩

川上
夫 野村万作、妻 野村萬斎

米市
太郎 石田幸雄、有徳人 深田博治、通行人 高野和憲、竹山悠樹、内藤連、中村修一、飯田豪、岡聡史


満席に近い。結構良い席が取れたのはラッキーでした。
萬斎の解説はきちんと曲の背景や筋立てを追って話すもので、至極普通。
パンフレットの解説がなかなか充実。
パンフレットと言えば外側に伊藤通彦さんという面打の方の一文が。楢山節考で使われた烏面の話なのですけれど(おそらく楢山節考のパンフレット印刷に間に合わなかったのでは)、大変に深い内容ですので、手に入る人は是非ご一読を。


八幡前。以前に善竹家で観ています。パンフレットにある「いかばかり神も嬉しとおぼすらん八幡の前に鳥い立ったり」は大蔵流の文句なのか、野村家は「神も嬉しく」「鳥い立てたり」と読みます。
三宅近成はやたらに声が大きいのですけれど、このバカ聟が妙にぴったりくる。三宅一門は皆ハンサムですが、後見の前田、太郎冠者の高澤、苗字からして親族では無いようですが、これもまたハンサムだなー。


お目当ての川上。前に万作&石田で観ているのですが、全体から受ける印象は今回の方がひょうひょうと演じられています。万作の一つのテーマである曲と萬斎も解説していましたが、色々工夫を重ねているのでしょう。

さて、この夫は十年前に失明してその後結婚したらしい。吉野の里の川上の地蔵まで一晩おこもりに行くのですけれど、盲人が一人で出かけられるというのは治安が良かったんですね。途中で躓く演技、びっくりしました。当たり前ですが突然躓いて転びますから。

おこもりで左右の人に話しかける演技。周りにたくさんの人がいるのが見えてくるよう。

今改めてこの曲が立った二人で演じられるものであったことにびっくり。もっとたくさんの人の出てくる濃い舞台だったような印象が残りました。

結局ご利益で目が開いたのに、「妻を離縁せよ」というお告げに従わなかったばかりにまた盲目となってしまう夫。最後の謡が良かったです。

萬斎の解説では、「この夫と妻をどの程度の年齢の役者が演じるかで最後の印象も変わる」とのことですが、確かにそうかもしれない。


年の瀬にふさわしい米市
歳暮をくれるのを忘れている有徳人に控えめに催促する太郎。「おお、そうじゃった」と小さな米俵と綺麗な小袖をくださる。
一寸浮かれて帰る太郎。まるで女性を背負っているかのように見えるので、有徳人が「俵藤太の娘米市御寮人の里帰りだ」。太郎もそれに乗って、声をかけてきたボンボンの一団とやりあう。
最後は「これは俺が大事の年取りものじゃいよー」と米俵をかかげて言う。パンフレットにあったような哀感よりも、これを持って帰って妻子と年を越そう、というほのぼのした感じが伝わりました。
[PR]
by soymedica | 2015-12-08 21:07 | 能楽 | Comments(0)
<< 能への扉 葵上 国立能楽堂企画公演 十一月 清... >>