第七回 燦ノ会 井筒

d0226702_12343774.jpg第七回 燦ノ会 井筒
2015年10月21日(水)18時45分より@喜多六平太記念能楽堂
正面席5000円

解説 山中玲子

井筒 
シテ 大島輝久、ワキ 宝生欣哉、アイ 高野和憲
笛 杉信太朗、小鼓 吉阪一郎、大鼓 亀井忠雄
後見 塩津哲生、佐々木多門
地謡 友枝昭世ほか


物凄く久しぶりに喜多能楽堂へ。こんなに舞台はピカピカしていたかしらん。

解説は山中玲子先生。伊勢物語の能は世阿弥の時代よりも以前からあったと考えられており、「伊勢物語の秘話を明かす」みたいな筋立ての物だったらしい。井筒もそういう話であったものを、世阿弥がもっと洗練された形に作り上げたと考えられているそうです。たとえば舞台となっている在原寺は盛業中の寺であったものを、廃寺のイメージでつくりかえるなどして高踏的な物語にしたそうです。
聞きやすくてためになるお話でした。


お調べが始まりいよいよ井筒。なぜか本日のお調べはせっかちな感じ。前に出された井筒の作り物はススキが右手側に。

諸国を流れ歩いている宝生欣哉。この人の主張しない演技が井筒のワキ僧にぴったり。廃寺に佇んでいると仏に手向ける水を手に女が。この面がちょっと面白くってい。田舎っぽい美人。

大島輝久、いつもうまいな、と思って見ているのですが、今回「筒井筒…」と謡うところでやはりしみじみ上手だなー、と。地謡やワキとの掛け合いも綺麗で満足の前場でした。

さて、アイが出てきてワキ僧に業平と有常の娘の話を聞かせる。高野には気の毒ですが、私はこの井筒のアイがアイ語りのなかで一番つまらないような気がするんです、誰がやっても。

ま、ともかく冠と直衣をまとった女が登場。この面で男装すると男に見えなくもない。
ゆっくりと序之舞を舞う。これ、退屈せずに楽しめました。こちらの体調が良かっただけでなく、大島の舞が綺麗だったためだと思います。

やはりこの面は面白いな、と思ったのは「見れば懐かしや」と井戸をのぞき込むときに表情が大きく変わるところ。その後寺の鐘が鳴り上を見上げるとまた表情が大きく変わる。
松風の吹く中、女はどこかへ帰っていく。ワキ僧ははっと目を覚まして夜明けが来たのを知ります。

今まで何度か井筒を観たけれど、今回のが一番面白かった。

笛の杉信太朗、きれいだけれど間の取り方がちょっと。名前に覚えが無くて誰?と思った小鼓の吉阪一郎が凄く良かった。

それにしても、井筒の作り物を引くのが早くありませんか?ワキ僧が完全に幕に入ってからにしてほしい。


喜多能楽堂のアフターシアターに良いお店、見つけました。カウンターだけですので大人数には向きませんが、目黒駅近くのキッチンセロ。ワイン好きの方はどうぞ。
http://www.to-vi.jp/cero/
[PR]
by soymedica | 2015-10-26 12:36 | 能楽 | Comments(0)
<< 本:読んで愉しむ能の世界 国立能楽堂十月定例公演 鎌腹 松風 >>