国立能楽堂十月定例公演 鎌腹 松風

d0226702_2314137.jpg国立能楽堂十月定例公演演出の様々な形
10月16日(金)18時30分より
正面席 4900円

狂言 大蔵流 鎌腹
シテ(太郎)山本則重、アド(妻)山本則秀、(仲裁人)山本則俊

能 喜多流 松風 身留
シテ 粟谷明生、ツレ 大島輝久、ワキ 森常好、アイ 山本泰太郎
笛 松田弘之、小鼓 曽和正博、大鼓 白坂保行
後見 中村邦生、友枝雄人
地謡 長嶋茂ほか


鎌腹ってそんなに好きでは無い演目なので、ちょっと遅れてもいいやと思ったら間に合ってしまった。そしてこれが面白かった。プログラムの解説によると鎌腹には3つの終わり方があり、1.太郎は死ぬのをあきらめ、山に仕事に行く、2.様子を見に来た妻と仲直りをする、3.様子を見に来た妻と再びケンカになるバージョンがあるらしいです。

今回は様子を見に来た妻がやけにしおらしく、そして亭主は妻が来たとなると力強く「鎌腹を切る」と。仲直りバージョンですね。いつも東次郎や則俊の陰に隠れてしまう則重、則秀が熱演でした。


松風は実は結構好きな演目。羽衣よりも外れの舞台が少ないのはなぜか。もしかしてツレのいる曲は見せ易いのかもしれない。

何の変哲もない松が正先に出されます。
囃子が始まってから綺麗な潮汲み車が目付柱付近に。桶は一つ。森常好の僧が出てくる。この人の滑らかな美声だと、須磨の浜辺の寂しさも何だかゴージャスに。あの松が松風村雨の跡か、弔ってやって今晩は塩屋に泊めてもらおうというと、本当に雛にはまれなという感じの美人の二人が。

このシテとツレ、声の質が良く似ていますね。大島輝久は喜多流の若手注目株、ベテランの粟谷明生も力まないで素敵な謡をきかせてくれます。
そして喜多流はいつも地謡が綺麗だと思う。人数が少ないので息が合いやすいのだろうか。
ところで、月は一つ、影は二つ、で観世では潮汲み車の桶は二つだったのですが、なぜ喜多は一つ?二つ使う演出もあるのだろうか。それとも月は行平で影とは松風村雨なんだろうか。

塩焼のつらい生活を嘆きつつ潮汲み車を引いて戻ってきて、見慣れぬ僧を見とがめる二人。いささかの押し問答のうちに僧は塩屋に泊めてもらうことになります。「ここは行平ゆかりの地ですねー」などと語ると涙をこぼす女あるじ。

「実は私たちは松風村雨の幽霊なんです」と言われても、僧は驚かない。昔は死者の世界が近かった。
行平の肩身の衣を抱きしめて涙する松風。
この場面も後の狂乱の表現も割と抑えめで好感が持てました。

物着は正中で行われます。
中の舞の笛が物凄く綺麗。
松を回るところが見せ場なのだそうですが、技術的には難しいのかもしれないけれど、別に???と毎回思う私。

全体としてはしっとりして寂しく、綺麗な舞台でした。
…大鼓の掛け声が今一つだったかな。


面は小面。銘は小姫だそうです。



…ところで鍋の「ゆきひら」って行平と関係があるんだろうか?
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by soymedica | 2015-10-21 23:14 | 能楽 | Comments(0)
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