国立能楽堂九月企画公演 「ガラスの仮面」より 紅天女

d0226702_2031376.jpg国立能楽堂九月企画公演 新作再演の会
2015年9月25日(金)18時半より
正面席6300円

おはなし
美内すずえ 聞き手 中井美穂


漫画「ガラスの仮面」より 紅天女

美内すずえ監修
植田紳爾 脚本
梅若六郎 演出・能本補綴

阿古屋・紅天女 梅若玄祥、仏師・一真 福王和幸
東の者 茂山七五三、西の者 茂山千三郎
月影千草 岩崎加根子
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 加藤洋輝
後見 山崎正巳利、永島充、松山隆之
地謡 観世喜正ほか


「ガラスの仮面」だいぶ読んだけれど、全部は読んでいません。
アップした写真とおんなじクリアファイルを売っていて、誰かに頼まれたのかおじさまが購入。「すいません、袋に入れていただけますか」わかります、その気持ち。オジサンには気恥ずかしいかも。

30分ほどの対談がありましたので、本物の美内すずえさん、見られました。小柄で頭のよさそうな話をするおばさま(実際に頭が良いのだと思います)。
植田紳爾さんは、宝塚の脚本家でベルバラなどを手掛けた人だとか。SB席にはいつもあまり見ない紳士が多く出入りしていたのはその関係の方達でしょうか。

最初に客席が暗くなって橋掛かりにライトアップされた月影千草役の岩根加根子登場。「劇・紅天女とは何か」を説明します。無くても良いのですが、能を知らない人とか、能は知っているけれど「ガラスの仮面」を読んだことのない人、にはあったほうが親切かな。

このナレーションの最後の方にかぶせて御調べが始まります。照明も普通に明るくなります。上にしだれ紅梅の花を載せた塚の作りものが大小前に。狂言口開けと言っていいのかな、喧嘩ばかりしている東西の国のものが天変地異に怯えて退場。この七五三、千三郎が上手い。それにしても物凄く派手な衣装。ここで、「この演劇は舞台装置も幕も無い象徴的なやりかたのものなんだよ」と見ている者にわからせる仕組み。

旅の仏師、登場。何だか福王和幸、音が安定しない。美内すずえが「聞いてわかる言葉に、と注文した」と言っていた通り、セリフはほぼ現代語なので、やりにくいのかな。
仏の像を刻んで全国を回っている彼は、かつて今と同じ動乱の世に一真という仏師が梅の木で天女を刻んだという話を聞き、吉野の里にやってきたのです。

道行きを謡ったり、揚幕の向こうからシテが「のうのう」と呼びかけたりするところは普通のパターン。呼びかけた女に一夜の宿を借りる仏師。ここで、仏師は南北朝時代の仏師一真と阿古夜の話を聞かされます。女は作り物の中へ。後場はそのお話。

能をやる人は皆照明をいじりたくなるらしく、今回も物着で半暗転。個人の会なんかでも客席の照明を物凄く落とす人とか、舞台の照明をちょっと暗くする人とかいますよね。

後シテならぬ後ワキの一真が右手に斧を持って登場。簡単に言うと、一真は阿古夜という里の霊能者と恋に落ちるのだけれど、実は阿古夜は梅の精。運命に導かれて一真は斧で愛する梅の精が宿っている木を切り、天女の像を作る、というお話。もちろん天女は作り物の中から出てきて綺麗な舞を舞います。
後に話を盛り込みすぎ。後にも狂言方が出て来るし、ばっさり前場を切っても結構面白いのではないだろうか。

福王和幸の謡が不安定なのに対し、玄祥はさすがに上手い。現代劇やらせたら福王はダイコンかもしれないけれど、玄祥は結構上手いんじゃないかな。

ところで、全部現代語で語られているこの「紅天女」ですが、狂言方の部分以外は全て字幕あり。でもなぜか念仏(真言かな)を唱えるところでは字幕が出ませんでした。いまパンフレットを見たら、狂言方の部分も全部セリフが起こしてありました。

最後には舞を舞った天女が後ずさりしつつ退場。

観終わって結構面白かったけれど、うーん、ワキが本当に福王和幸で良かったんだろうか。確かにビジュアル的には宜しいけれど、もう少し爺さんがやった方が生々しく無く能らしくてよかったんじゃないだろうか。
それと、謡の力にビックリ。全体も良かったし、観世喜正が一人で謡うところもあるんですが、これも良かった。かなり地謡陣が舞台を引っ張ったところがあると思う。

もう一度見ても良いかな。
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by soymedica | 2015-10-01 20:34 | 能楽 | Comments(0)
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