第九回 香川靖嗣の會 木賊 富士松

d0226702_20194073.jpg第九回 香川靖嗣の會
2015年4月4日(土)14時より@十四世喜多六平太記念能楽堂
S席10000円

お話 馬場あき子

狂言 富士松
シテ 野村萬、アド 野村万蔵

能 木賊
シテ 香川靖嗣、子方 大島伊織、ツレ 内田成信、佐々木多門、友枝真也、ワキ 宝生閑、ワキツレ 宝生欣哉、則久英志
笛 一噌仙幸、小鼓 曽和正弘、大鼓 國川純
後見 塩津哲生、中村邦生
地謡 友枝昭世ほか


馬場あき子さん、お元気だしおきれいだなー。ああいう風に年取りたいものだ、などと思っていたら後半寝落ちしてしまいました。ごめんなさい。起きている所のお話は前場に出てくる「帚木」の問答の事。平安時代には「上部がほけほけとしている珍しい木で、でも、近くに行くとわからなくなってしまう」という植物のことで、恋愛にたとえることが多く、源氏の「帚木」の巻もこれによっている。これが中世になるとヤドリギのことになるのだ、と。

そして半分寝たまま富士松に突入。これは実は大変に残念なことでした。地味な演目で後半目覚めてはみたものの、相変わらず連歌の面白味がところどころしかわからないのですが、萬と万蔵の二人の掛け合いがテンポよく、凄かった。前にも同じ組み合わせで観ているのですが、こんなに楽しかったかな?
前のほうに座ってらした馬場さんは連歌の面白さに凄く反応していらっしゃって羨ましい。


さて、木賊。出てきた囃子のメンバーをみて、「今日は枯れた感じで行くのかな」と思ったらやっぱりそうだった。渋い色の高級な着物のような囃子をきかせてくれる。
まず子方が着流しの僧形で登場。お人形のようなかわいらしい子方が角帽子かぶっているとますますお人形っぽさが強調される。
続いて大口の僧が三人。宝生閑、心配だなーと思ったらワキツレが欣哉だったので一安心。

どうやらここは園原山というところらしい。向こうに見える草刈りの一行に名所をきこう、と待っていると一行がやってくる。橋掛かりで細々という感じで謡います。草刈りと同じように、棒の先に青い植物を挟んで担いでいます。挟木賊というのだそうですが、遠目には木賊が本物に見えました。
シテは着流しなんだが、ツレが全員長袴。

木賊で満月を磨くんだろうか、磨けや磨け、と言いながら舞台に入ってきます。ツレはずんずん歩いて行って、2人は切り戸口から退場してしまいますが、この様子が視覚的にきれい。本に「昔田舎の人が木賊の舞台を見て『木賊はあのように刈るものではない、手前から向こうに押すように切るのだ』と笑ったので、それ以後皆手前から向こうに鎌を動かす」とあって注意して見ていたら、確かにそうでした。

「あなたは木賊刈りには見えない上品な様子だが」というところから、帚木問答になります。そして旦過(一日を過ごす家の意味だそうです)に泊めてやると、言われ僧は大変に喜ぶ。ここで、後見は挟木賊を引いてしまいます。ツレが何かもそもそしているなー、と思ったのは肩脱ぎしていたものを着直したのですね。

ここで、ツレが喜んでいる一行に「実は主人は息子を往来の僧にかどわかされて連れて行かれたので、時々様子がおかしくなるが、気にしないように」と。気にしないように、と言われてもねー。この不気味な念押しもよかったけれど、閑の「心得申し候」のセリフが凄く良かった。

ここで子方が「あの尉は父だ!」というのですが、「それはめでたい」という僧に向かい「思う次第あるから、今は名のらない」と。

後見座で物着をしていたシテが髪をポニーテールにおろし、風折烏帽子にオレンジの長絹というちょっと変な服装で登場。おまけに固辞する僧に酒を飲ませようとする。そんな変なお父さんだから思春期の息子(子方が演じますが実際はもっと大きな息子という想定らしい)が拗ねて出て行っちゃうんですよ。しかもいくら何年かたったからってわが子の顔見てわからないってどうよ。
そして見せ場の序之舞を舞うのですが、ちょっと変わった感じの舞でしたね。

で、いたたまれなくなった息子が名のる。息子の名は松若というらしいです。
めでたしめでたしなのですが、この後この親子はまたひと悶着ありそうな気がします。

面白い曲だったし、演者も囃子も良くて満足しました。
子方がカワイイ。本人はじっと座っているつもりなんでしょうが、数珠を眺めてみたり、少し動くのも面白い。


参考は 能の表現 清田弘 草思社
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by soymedica | 2015-04-07 20:21 | 能楽 | Comments(0)
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