銕仙会定期公演三月 粟田口 求塚

d0226702_836771.jpg銕仙会三月定期公演
3月13日(金)18時より@宝生能楽堂

狂言 粟田口 
シテ 山本則俊、アド 太郎冠者 山本則秀、粟田口 山本則重

能 求塚
シテ 野村四郎、ツレ 北浪貴裕、長山桂三、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日方寛、則久英志、アイ 山本東次郎
笛 藤田次郎、小鼓 大倉源次郎、大鼓 柿原崇志、太鼓 三島元太郎
後見 浅見真州、清水寛二
地謡 観世銕之丞


色々と大切な会とブッキングしていたけれど、やはり一番大切なのは野村四郎の求塚でしょう。ということで、勇んでやってきました。

まずは刀の粟田口と人とを間違えて雇い入れてしまう狂言、なんだけれど、途中から完全に寝てしまいました。東次郎の出ない山本家の狂言ってちょっと疲れているときには固すぎる。

気を取り直して求塚。各地を観光している僧の宝生欣哉の一行。観光しているはずなのに、これから先を予想してか、出だし物凄く硬い。何か楽屋であったのか、気にかかることでもあるのか、というくらい固い。

菜摘の一行登場。三人がとっても良く似ていて、左手にもう菜の入った籠、右手には扇というおそろいのスタイル。最後にちょっと遅れて出てきた娘はお鼻の丸い可憐な乙女。ロンギのところ、三人の乙女がとてもかわいらしい。
かなり前から東次郎が出てきて橋掛かりに座っているのだけれど、これも情景の一つに思える。装束の選び方でそうみえるのか、東次郎だからなのか。

他の娘が皆帰ってしまったのに、一人残るのは何故?と僧が聞く。この辺からやっといつもの欣哉になる。
この僧、求塚とは何か知らずに、「名所だから」とやって来たらしく、そのいわれを尋ねると、娘は教えつつ、だんだん様子が変わってくる。「その時わらは思うよう…」「え??」と思うと、ふーっといなくなってしまう。

東次郎が登場して、求塚の伝説を語る。前回は欣哉&萬斎、その前は閑&萬の組み合わせで観ているのですが、ずーっと昔から欣哉&東次郎で観ていたような、そういう自然な組み合わせ。たぶん二人の気迫に相互につりあうものがあるのでしょう。

さて、いよいよ塚の中から菟名日処女が現れる。この面が素晴らしい。野村四郎、手がちょっとむっちりしているので残念ですが、それを忘れさせる素晴らしい謡と演技でした。自分に責任が無いのに理不尽にも地獄に落ちてどういう目に合っているか、見せてくれます。昔の人は能を観ながら、世の不条理を共に嘆いたのでしょうね。

僧は念仏を唱えるときにわざわざ扇をワキ座に置いて念珠に持ち替えるのですが、懐に入れたのではやりにくいのでしょうか。

地謡も湿りすぎず、張り切りすぎず。太鼓の音がいつも慣れている音よりも若干低く湿った感じがするのも好ましかった。
後見は二人とも還暦過ぎと思われるのですが、若手の安藤が横から出てきて頑張っていました。

地獄の様子を見せて辛そうな処女でしたが、最後には読経に救われて若干落ち着きます。でも、塚の中に入って沈み込んで終わるのでした。

出だしがもう少しのどかな感じだと良かったとは思いましたが、満足した一日の終わりでした。


面は
前シテ「孫一」 伝 竜右衛門作
後シテ 痩女 大宮大和作
ツレ 小面 作者不詳、「閏月」北沢一念作
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by soymedica | 2015-03-19 08:38 | 能楽 | Comments(0)
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