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千五郎狂言会 悪坊 空腕 鶏猫

千五郎狂言会 悪坊 空腕 鶏猫_d0226702_142012.jpg千五郎狂言会第十七回 
2015年3月12日(木)19時より@国立能楽堂
正面席6500円


悪坊あくぼう 
悪坊 茂山千五郎、僧 茂山千三郎、宿の亭主 茂山宗彦

空腕そらうで
太郎冠者 茂山正邦、主人 茂山逸平

鶏猫けいみょう
河野某 茂山千五郎、藤三郎 茂山七五三、子供 茂山竜正
太郎冠者 茂山茂、次郎冠者 島田洋海、三郎冠者 井口竜也


千五郎狂言会、入り口で本「和伝書」の販売中。一冊購入したら見返しに一門のサインがあるのだが、その空いたところに竜正くんがサインしてくれました。心ここにあらず、といった体で、たぶん鶏猫出演がプレッシャーだったのでしょう。
見所でも開演ギリギリまで一門が本の販売。逸平が、「はい、買った人は本を右手に持って上げましょう」「ありがとうございます。今度は買っていない人は手を上げてください。そのままその手をずーーっと挙げていてくださいね」(爆笑)


悪坊。悪太郎によく似た話ですが、もっとすっきりしています。酒癖の悪い悪坊が道で行きあった僧と無理やり同道。知り合いの宿に入って悪坊が寝込んでいる間に、長刀と刀を取り上げてしまうという話。刀の代わりになんだか先が二股になった棒のようなものを悪坊の腰に差してやるのだが、これが「助老」という座禅の時に顎をのせるものらしい。一つ物知りになりました。

それにしても悪坊のべろんべろんに酔っ払った迷惑な感じ、千五郎、熱演でした。千三郎の迷惑している感じも宜しかった。もちろん本日は最後の鶏猫がメインなのでしょうが、私にはこれが一番でした。


空腕は、日ごろは何かと武道自慢の太郎冠者が夜にお使いに出され、切株や何かの陰におびえて盗賊と間違えた挙句に、主人に持たされた刀を差しだしてしまう。実は刀を取り上げたのは帰りが遅いので様子を見に来た主人だったので、帰ってさんざんに怒られる、という…。
若干地味な感じがするものの、正邦が熱演、凄く上手。逸平は声が大きくて華があるけれど、演技には何かが足りない感じがする。


そして鶏猫は、シリアスな話。大名の猫が自分の可愛がっていた鶏を捕ったので思わずその猫を殺して藤三郎。自分の子供の密告で危うく死罪になるところを、その子供の機転(密告したのにも深い訳があったのだが)助かり、あまつさえ刀まで拝領するというはなし。
次郎冠者だけでなく、三郎冠者までいる話は初めて。藤三郎は武道にたけているという設定で三人がかりで捕えに行くのですが、橋掛かりで次郎冠者、三郎冠者が派手に前転したりして面白い。
最後には謡が入って、七五三の仕舞も楽しめました。
竜正君、熱演でした(ちょっとつかえちゃったけれどね)。本来は虎真君だったはず、どうしたのでしょう。
「子供」がもう少し年齢のいった演者だとあまりに深刻な話になりすぎるし、このくらいが良いのかもしれません。


次回は10月8日です。
by soymedica | 2015-03-15 14:20 | 能楽 | Comments(0)
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