国立能楽堂三月普及公演 鶯 熊野

d0226702_14475665.jpg国立能楽堂三月普及公演
2015年3月7日(土)13時より
正面席4900円

解説 「熊野」の風雅と『平家物語』
佐伯真一

狂言 和泉流 鶯
シテ(何某)佐藤友彦、アド(鶯の飼い主)井上松次郎

能 宝生流 熊野
シテ 當山孝道、ツレ 小倉健太郎、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 平木豊男
笛 一噌庸二、小鼓 曽和正博、大鼓 國川純
後見
地謡 小林与志郎ほか

やってきました、花粉の季節。本日はちょっと雨模様なのでそれほどでもありませんでしたが、解説と狂言の後半は寝てしまった。ともに大変に面白そうであったのに。決して演者のせいではありません。申し訳ございませーん。
ということでe-honで佐伯先生の「物語の舞台をあるく 平家物語」を注文してしまった。

熊野はご存知のように平家の御曹司宗盛が愛妾の熊野が母の病気で故郷に帰りたがっているのに許さず、花見に連れて行き、そこでやっと帰郷を許す、という話。
御曹司宗盛は今回殿田謙吉。ふくよかな感じが昔の御曹司、という感じ。直面でやるこの宗盛、ワキではだれが似合うかなー、と考えると意外に殿田は年齢と言い風格と言い、はまり役かもしれない。
御曹司らしく真ん中で堂々と名乗り。ワキツレは見たことのない方でした。

さて、熊野の老母の手紙を持ってはるばる浜松あたりからやってきた朝顔。ちょっと色黒であんまり美人ではないところが母の気遣いを感じさせる(宗盛の寵愛が移ってはいけませんからね)。
あっという間に京都に着いた朝顔。
熊野が出て来ます。

熊野は痩せた美女。シテの當山は小顔なのか、面が大きく感じられる。母の手紙を読んでショックを受けた熊野はそれを宗盛に読んで聞かせて帰郷を願う。この、手紙を読むところが聞かせどころなのでしょうが、この人の謡が非常に弱々しい。老母ではなくて熊野が病気?!と、知らなければ思ってしまう。不思議なところで息継ぎをする特徴のある謡です。一瞬魅力的なんですが、ずーっと聞いているのはつらい。

それでも「花見に行くぞ」と宗盛。車に乗っても熊野はとても辛そう。でも、それが
母を思ってではなくて、自分が車酔いでもしているのかという…。
地謡もなんだか控えめでしたし、囃子も肩の力が抜けた感じと言えばいいけれど、妙に控えめ。ま、ベテラン三人でしたから満足しましたが。

いよいよ酒宴が始まって中之舞。この人、扇の使い方が綺麗。そして袂から短冊を出して今一度帰郷を願い出る歌を書く。ここ、見せ場ですよー、という感じで所作が綺麗だった。

その心に打たれて、宗盛、帰郷を許す。晴々と帰っていく熊野。あら、元気な演技ができるんじゃない。前半のは病母を思っている様子を見せる演技だったのね。…ちょっとやりすぎで私には理解できなかった。

美しい曲だし、もうすぐ桜の季節だし、楽しい舞台だったのですが、どうも宗盛は宗盛、熊野は熊野でそれぞれ勝手に演技しているような感じで全体としての「お話」の構成があんまり感じられない舞台だったのが残念。

ところで、後見座には一人しか座っておらず、それも若く見える方でしたが、変更があったのでしょうか。


面はシテが節木増、ツレが小面だそうです。
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by soymedica | 2015-03-08 14:49 | 能楽 | Comments(0)
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