銕仙会定期公演二月 桜川 舟ふな 大会

d0226702_1275719.jpg銕仙会定期公演2月
2月13日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席

能 桜川
シテ 小早川修、子方 馬野訓聡、ワキ 福王和幸、ワキツレ(茶屋)中村宜成、(里人)矢野 昌平、(従僧)村瀬提、村瀬慧
笛 藤田朝太郎、小鼓 森澤勇司、大鼓 柿原光博
地謡 浅見真州ほか
後見 北浪昭雄、片山九郎右衛門

狂言 舟ふな
シテ 野村萬、アド 野村拳之介

能 大会
シテ 谷本健吾、ツレ 安藤貴康、ワキ 殿田謙吉、アイ(京童)野村晶人、野村太一郎、(木葉天狗)野村 万蔵、野村虎之介、小笠原匡、河野佑紀
笛八反田智子、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠、太鼓 小寺眞佐人
地謡 西村 高夫
後見 鵜澤久、観世銕之丞


比較的若いシテ二人の定期能。
まず、桜川から。囃無しで人買いが手紙をもって登場。桜子の文をもって母の家を訪ね、手紙を渡す。切戸から退場の時に躓いてしまうのはめったにないこと。
手紙を読んだ母、ショックを受け子供を訪ねて旅に出る。

ふっと気づくとワキが一人出てきて後見座に座っている。これは後で僧の一行に狂女見物を勧める役の里人。
子方登場。スタスタと、背の高いワキ、ワキツレを引き連れて出て来る体で何となくほほえましい。福王&村瀬sの三人。福王和幸の声が低いのに対して村瀬の二人は比較的声が高く、合わせるのが大変そう。しかし村瀬s、上手くなったと思う。
里人が、「花見の余興に狂女の舞はどうか」と勧める。

里人に呼び出された狂女。綺麗だけれど、ちょっと年増の雰囲気。展覧会などで面だけで見ると姥以外の面の年齢差は小さいような気がするけれど、舞台で見ると増とか深井ははっきり年増とわかるから不思議。黄色い水衣が美しい。

ここでやっと後見登場。もうちょっと早く出てきてあげれば良いのに。

僧が狂女に出身や身の上を聞く。ここで親子の名乗りを上げてしまっては舞台にならないから、観客は「あれ?」と思っても、僧も桜子も何も気づかないことにしておく。
「桜川に花の散る」というとこの女は狂いますよ、と声をかける里人。シテ―ワキ―地謡の謡のコンビネーションが物凄くきれい。

出だし、地謡が中々調子が出ずに、このままこれをずーっと聞かされるのか、と思ったがどんどん調子を挙げて行って、素晴らしかった。

親子の名乗りをあげてめでたしめでたし。
最後、村瀬堤物凄く足が痛そうで、立ち上がれないかと思った。
綺麗なおとぎ話のような舞台でした。

面は深井 銘 桜女 水野出羽守忠周作


舟ふな、は昔万作&裕基のおじいちゃんと孫のコンビで観たことがあって、何となく童話のような話だ、と思っていましたが、今回のようなもっと年上の若者との組み合わせもよろし。ただ、拳之介は声が大きいだけで聞きとりにくい。萬の発語のほうが明瞭で、さすがと思いました。萬の言葉も謡もしぐさもラブリー。
満足でした。


大会。調べたら過去に喜多流で2012年に野村万作家がこの銕仙会バージョンの前場をやっているのを観ています。観世流のは2011年に西村高夫で観ている。

前場は光るものに化けて世間を騒がせてやろうと思った天狗が右大臣の威光に負けて木から落ちて、鳶に化けて逃げようとするところを、京童に捕まる、というところから。こいつの羽を売って、骨は黒焼きにして膏薬に…、というところに僧が現れて「この扇と数珠をやるから放してやれ」と。

僧が「今日は良いことをした」とお経を読んでいると、なんだかボロっとした感じの山伏がやってくる。今日世話になったものだが、お礼に何がしてほしい?と聞くと、「ははー、こいつは」と思った僧は、霊鷲山での釈迦の説法が見たいと。「では、見せてやるが絶対に信心は起こすなよ…。」と言ってかき消すように消える山伏。なぜか橋掛かりに入ると歩みがゆっくりになる。ここもすーーっといなくなれば良いのに。

さて、下っ端の木の葉天狗も何かに化けようと相談。衣装も立派な体躯もいらない御賓頭盧様に化けることに。
野村万蔵の掛けている面、失礼ながら何となく本人に似ている。

いよいよ釈迦の霊鷲山での説法。一畳台を二つ、それに椅子を乗せ、さらに木の葉天狗たちの準備にも狂言方の後見がつくから、人手が大変。一畳台なんか、観世淳夫はともかく、片山九郎右衛門も運んでいました。

有難いお釈迦様登場。喜多流の高林白牛口二で観たときにはあまりのよろけぶりにハラハラしたけれど、足取りはしっかり。西村高夫のように思わずこちらも拝んでしまうような威厳にはちょっと欠けるかな。何が違うのだろう。
でも、人の良い僧である殿田は思わず拝んでしまう。

と、そこに怒った帝釈天。谷本&安藤は仲良しなのでしょうか。いつも舞台で一緒のような気がする。息もぴったり。安藤は威厳というよりは「まじめ、基本に忠実に」と思っているんだな、という演技。
釈迦から天狗への早変わりは凄く不思議。上から下まですっかり変身。演技ももう少しダイナミックに変わった方が良かったかもしれない。

このシテは割と面や装束に凝るタイプらしい。素敵でした。

満足しました。

面は前シテが 鷹 出目栄満、後シテが釈迦と釈迦下で見市泰男。
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by soymedica | 2015-02-19 12:09 | 能楽 | Comments(0)
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