野村四郎喜寿記念公演会 清経 安宅

d0226702_17413949.jpg野村四郎 喜寿記念公演会
2015年2月7日(土)13時より@観世能楽堂

清経 恋之音取
シテ 野村昌司、ツレ 坂井音隆、ワキ 福王和幸
笛 一噌隆之、小鼓 曾和正博、大鼓 柿原弘和
後見 観世清河寿、観世恭秀、山階彌右衛門
地謡 角寛次朗ほか

鐘の音
シテ 野村萬斎、アド 竹山悠樹

独吟 隅田川 関根祥六
一調 高砂 観世清河寿、太鼓 金春國和→國直

安宅 勧進帳、酌掛、延年之舞、貝立
シテ 野村四郎 ワキ 宝生閑、子方 武田章志
武田友志、坂井音晴、長山桂三、木月宣行、坂井音雅、角幸二郎、清水義也、坂口貴信、上田公威
アイ 野村万作、高野和憲
笛 一噌庸二、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井忠雄
後見 武田宗和、木月孚行
地謡 浅見真州ほか


私の頭の中では野村四郎って地味でまじめな人柄で、実力派で、後見としても凄く信頼されている人、というイメージ。しかしながら観世能楽堂に着くと、これはこれは物凄く華やかな雰囲気。酒樽が積んでありますが、そのためではなく、集まった人の気持ちでしょうか。入り口では金箔いりの小さな金平糖をくれました(美味しかった)。


まずは清経。未亡人へのお使いとしてはどうかと思う福王和幸演ずる粟津三郎がやってくる。ツレの謡がいつもの調子ではないなー、と思っているうちにさらさらと前場終了。ここは重要な場面ではあるけれど、このくらい控えめな方が恋之音取の小書付きのときには良いな。地謡は控えめではあるけれど、素敵。

未亡人に形見を渡すと粟津は退場。
笛が完全に橋掛かりの方を向く。(後の座を後見が埋めるのが面白い)。綺麗な笛をためらいがちに吹くと幕が半分上がる。夫の幽霊が三の松、二の松と、笛にひかれて少ずつやってくる。笛が止まると後ずさりする演出もあるらしいが、今回は少しずつ少しずつためらいがちに出てくる。

互いに恨みを言いあい、涙する二人。ここからはがぜんツレも調子が出てくる。今まで野村昌司って殆ど意識したこと無いし、地味な人だと思っていたけれど、さすがお父さんに鍛えられただけのことはあって、上手。後から振り返ると今回は四郎の喜寿記念だけでなく、昌司の清経の披きにもかなりな重点のあった催しだった。

平家が瀬戸内の海でどんなに苦労したかを腰かけてじっくり妻に語る清経。そしてついに立ち上がって熱心にかたり、成仏の様子を見せます。
清経ってこんなに面白い曲だったか、と思いました。満足。


鐘の音。萬斎、ちょっとテンポが速いかな。面白かったけれど。よく考えたらおじさんのお祝いに駆けつけたのですね。


独吟と隅田川の一調。関根祥六はまあ普通に良かった。一調は元のパンフレットを確認すると金春國和になっている。で、出てきた若い金春さんは息子さんでしょうか。こういう会で家元と一調って緊張するだろうなー。頑張れ。何となく観世の家元からは「俺が育ててやる」みたいな雰囲気を感じたんですが考えすぎかな。


野村四郎と安宅。ミスマッチだなー、と思っていたのですが、やはりこんなに上品な弁慶?内側からにじみ出るものは隠せないのでは。そして山伏の衣装についているポンポン(名前は何かな)が白くて大きいので福々しい上品な老人。兄の万作と一緒に見ると、四郎の方がハンサムかな。万作は自著で「自分はどうも美男子ではないらしい」と残念そうに書いていたが。

前半珍しく絶句していて、それだけに大曲だし、緊張する会なんだと思いました。後半の舞は素晴らしい。さすがに飛び安座なんかはないけれど、水を汲む動作など綺麗。本当に満喫しました。
なるほど、これで安宅は舞い納め、というくらい体力が要りそうな曲ですね。そして自らきっぱりと舞い納めを決定するというのが、いかにも四郎らしい。

色々堪能させてくれて、山伏たちはとっとと逃げる。強力が慌ててついていくのが面白かった。

堪能した会でした。
[PR]
by soymedica | 2015-02-12 17:46 | 能楽 | Comments(0)
<< 第43回のうのう能 頼政 実盛 国立能楽堂二月企画公演冬スペシ... >>