国立能楽堂二月企画公演冬スペシャル 謡講 弱法師

d0226702_17432954.jpg国立能楽堂二月公演 企画公演国立能楽堂冬スペシャル
蝋燭の明かりによる

2月4日(水)18時半より 
正面席6300円

おはなし 庶民のたのしみ 謡講
井上裕久

謡講形式の
替謡(巴より)大晦日おおつごもり
独吟(文化文政期の旋律)龍田クセ
素謡 蝉丸
井上裕久、吉波壽晃、浦部幸裕

能 宝生流 弱法師
シテ 大坪喜美雄 ワキ 飯冨雅介、アイ 善竹隆平
笛 赤井啓三、小鼓 林吉兵衛、大鼓 佃良勝
後見 宝生和英、朝倉俊樹
地謡 高橋章ほか


去年に引き続き、お爺ちゃんの作った障子の屏風をもって京都からやってきました井上裕久。お話好きの人らしく、「一分一秒たりとも超過するなと厳しく言われておりますので」と、謡講の説明を始めます。(最後の締めのところでも、弟子二人を紹介するのを忘れてしゃべり続けていました。)

「終わったときに拍手をせず良かったら小さな声で『いよっ』と声をかけるのが決まりでございます。では、皆さま練習を」ということで練習しました。皆ちゃーんと本番でも声がかけられました。

井上のいでたちは裃ではなくて、袴と肩衣、と言うのだそうで裃とは違って上下の色が違っています。昔は肩衣(要するに裃の上)無しの紋付だけで人前に出るのは恥ずかしいことだったので必ず肩衣をつけた、ということでその習慣を復活させたのだそうです。

くすくす笑えるの替え歌、大晦日。元歌の巴もうたってくれて満足。龍田は今の強吟も文化文政の節(弱吟に似る)も井上が謡ったのですが、面白かった。まるで違う曲に聞こえる。強吟というのは新しいものなのだそうですね。関西では井上の子供のころはまだお爺さんたちの節回しには昔のものが残っていたそうです。
そして蝉丸の素謡。

さすが謡講を復活させた一門だけあって、皆さん大変お上手でした。満足。



さて、続いて宝生流の弱法師。大小が床几に腰を据える前にでてくるせっかちなワキ。このワキは東京在住ではないらしく初めて観るのですが、前半ちょっと残念な感じ。お疲れなのか、まあ、こなしていればいいや、という謡。
さらにさらに、シテが後見が出てくる前に絶句しちゃって、出だしから難航。揚幕から後見がつけていましたが。
面はどなたの作かわかりませんが、ろうそくの明かりで見るといかにも苦労した若い乞食、という感じでよろしい。見せ場の一つの石の鳥居のところは綺麗でした。

ともあれ、お金持ちの高安通俊、捨てた息子が忘れられず天王寺で施行しているのだが、乞食法師の息子がやってくる。ここで、梅の香を楽しんだりする乞食ですが、どうもかなり教養のある乞食。天王寺の縁起も謡いこまれたりして、ご当地ソングの趣き有。
有名な日思観、思わず心にある風景が目に浮かんできて弱法師は正先に出て「見るぞとよ!」と。

実は私は弱法師ではアイが弱法師につきあたる演技が好きなのですが、今回はそれがなくてアイはずーと橋掛かりに座ったきり。見せ場がなくてかわいそう。足がしびれたのか、出て行きたいのか、チョコッと伸び上がるのが面白かった。最後に弱法師を送って行きますが、そこまでは何にもしない。すっきりした演出と言えば演出ですが。

出だし心配しましたが、高安のお父さん、無事息子を確認して家に連れて帰ってめでたしめでたし。
ところで、大坪喜美雄、1947年生まれとありますからそんなにお年でもないとおもうのですが、立つときに必ず後見が後ろに出てくる。昨年はそんなことは無かったと思うのですが、ご病気か怪我でもされたのでしょうか。

全体に地味な演出の舞台でしたが、蝋燭能にはこういう感じがあっているのかも。
割合満足できた晩でした。
しかし、地謡、しっかりしてほしい。昔は謡宝生と言われたそうではないですか。
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by soymedica | 2015-02-08 17:47 | 能楽 | Comments(0)
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