万作を観る会 野村万作芸歴80年記念公演

d0226702_226376.jpg万作を観る会 野村万作芸歴80年記念公演
2014年11月19日(水)18時半より@国立能楽堂
正面席10000円

素囃子 高砂 八段之舞
笛 藤田次郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯

狂言 文荷
太郎冠者 石田幸雄、次郎冠者 竹山悠樹、主 月崎晴夫
後見 岡聡史

袴狂言
釣狐 前

白蔵主 野村万作、漁師 野村萬斎
後見 深田博治、高野和憲

狂言 髭櫓 翔入
夫 野村萬斎、妻 高野和憲
立衆 月崎晴夫、破石晋照、竹山悠樹、中村修一、内藤連、飯田豪、岡聡史
注進の者 野村裕基
後見 野村万作、破石澄元


素囃子、間に合わず。
文荷と素囃子はいわば前座の役割かと思っていたら、文荷、凄く良かった。石田幸雄が良いのは当たり前ですが、竹山悠樹もとっても良くて、この二人の掛け合いにニヤリ。

主人の月崎に言われて嫌々恋文を届けに行く二人。「奥様は何とおっしゃるか」などとぐちぐち言いながら二人で楽しく手紙を押し付け合ったり、棒で担いでみたりと道草。で、ついに開いて読んじゃう。

読めばこれは面白い。何せ書き手の主人は妻がいる人、そして恋文の相手は男の子。二人できゃあきゃあ騒いでいるうちに手紙を破いてしまう。ちょっと慌てたけれど、毒喰わば皿までの精神で、手紙をあおいだりしてこれ又ひとしきり遊ぶ。
そこに、二人の帰りが遅いのにしびれを切らした主人がやってきて怒られる。最後の太郎冠者のセリフがまた面白い。

さて、いよいよ今夜のハイライトの釣狐
SB席には物凄い撮影機器が並んでいるし、正面席後ろの廊下にも撮影クルーが。
パンフレットに「お願い 本日上演致します袴狂言『釣狐前』は、終曲で、シテが幕に飛び込んだ後「名残の一声」を発します。それが曲の終わりでございますので、ご注意の上、最後までぜひお聴きくださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。万作の会」という説明書きが挟まっており、あちこちに掲示もされている。結果的にはそれが無くてもお客さんの拍手が先走ることは無かったと思う。それくらいの緊張感漂う見所でした。

猟師登場。萬斎は紫の着物にグレーの袴。足袋は白。能楽堂ってこんなにシーンとしてたっけ?と思っていると狐登場。袴狂言とは言いながら、手足は狐の装束を着けている。頭巾(深緑の地にススキの模様)、クリーム色の着物に金茶の袴。
鍛えているだけあって動きは壮年そのもの。謡、発声は老人ではありますが、上手い。比較的前の方の席だったので息遣いは気にはなりましたが(もともと息の荒い人)。

一晩たって振り返ってみて演技の細部は忘れてしまっても「凄いものを観たな」という気分。ちゃんと化けたか、犬はいないか緊張しながら猟師の家に行き、殺生石の話をし、最後に罠の餌に未練を残しながら帰る。その狐の怪しい緊張が伝わってくるような舞台でした。

見所も後見も大緊張。後見の二人はポーカーフェイスというわけではなく、緊張のあまりの無表情に見えました。一番自然体だったのは息子の萬斎だったような。
最後に何回も罠の餌の周りを回るところ、最後の方では見所からは笑いも出ましたが、あれは緊張が続かなくなっての笑いだったのかもしれない。
最後に幕に入って長く鳴いて終了。凄い拍手でした。後場は体力の関係で省かれたとのことですが、別に無くても完成度に不足はありませんでした。

NHKが録画したらしいから、そのうち放映されるでしょう。家で寝転がってせんべいかじりながら観ようっと。
地謡座の後ろの御簾の下がっている空間、あそこにも人がいたようです。録音でしょうか。


髭櫓。これ、一度観たかったんですよね。お話は単純で自慢の髭のおかげで大嘗会で犀の鉾を持つ役をもらった亭主。費用は自分持ちだと聞いて怒った妻を殴っちゃう。妻は近所の女性の仲間を引き連れて戻ってきて亭主の自慢のお髭を巨大な毛抜きで抜いてしまう。最後はお決まりの「くっさめ」で亭主退場。

さっきあんなに熱演した万作、澄ました顔して後見にすわっています。
出て行った妻が攻めて来ると聞いて夫は自慢のひげを守るために大きな櫓で髭の周りを囲います。小さな旗もついていてかわいらしい。
女たちは長刀や槍、熊手などで物々しく武装。妻は背中に大きな毛抜きもしょっています。
派手な斬り合いがこの小書きのみせどころ。
夫は長袴であごには大きな髭櫓をぶら下げているのに飛んだり回ったり凄い。

でも、最後には女房にひげを抜かれてしまうのです。めでたしめでたし?


本日は本当に堪能しました。もし何か一つ欠点を挙げろ、と言われたら、見所のあまりの期待の大きさに「お能拝見」みたいな雰囲気が漂っていたことかな。
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by soymedica | 2014-11-20 22:10 | 能楽 | Comments(0)
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