国立能楽堂十一月企画公演 鬼の世界 伯母ヶ酒 安達原

d0226702_2013447.jpg国立能楽堂十一月企画公演
11月8日(土)13時より
正面席4900円

解説 馬場あき子

狂言 和泉流 伯母ヶ酒
シテ(甥)小笠原匡、アド(伯母)野村万蔵

能 観世流 安達原 白頭 急進之出
シテ 観世清河寿、ワキ 福王和幸、ワキツレ 矢野昌平、アイ 野村太一郎
笛 松田弘之、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 小寺佐七、
後見 木月孚行、上田公威
地謡 山階彌右衛門


久しぶりの馬場あき子さんの解説。鬼というのは場所や時代の境目に出るものだ、と言うところから、安達原の見どころ、聞きどころのポイントを押さえたあらすじ解説。本日は全くの初心者からちょっと上の人を対象とした解説だったような。
都から東北に落ちてきて行政からも見放され明日の食事にも事欠く棄民としての生活を余儀なくされている女。でも、糸歌を聞くと昔は都で華やかな生活をしていたらしい…。

前シテは面は氷見の霊女らしい、とのお話でしたが、帰りに使用面の名前をチェックするのを忘れた…。


まずは伯母ヶ酒。これ、色々な人で何回か見ていますが、今回のは格段に元気の良い伯母と甥。なかなか楽しかった。こんなに出だしから伯母のケチが強調されていましたっけ?


安達原。観世宗家のシテなのに、意外に簡単に好みの席が取れたのですが、やはり満席。運が良かった。

さて、遠く東北は二本松付近(?)の安達原までやってきた僧二人。出てくるときに「ワキツレ、なんとなく歩き方がたどたどしいな」と失礼にも思ったのだが、謡は立派でした。多分、ワキツレの歩き方が下手なのではなく、福王和幸の歩き方が上手なんだな。

日が暮れて来て寂しい原野の遠くに人家が。
中には老婆が一人。やはり観世清河寿の謡は凄い。その上馬場あき子が聴きどころを念押ししたので、大満足。ぼろぼろの生活をしている老婆の家に二人は泊めてもらいます。

泊めてもらった上にずうずうしく糸を繰って見せろという二人。安達原は何回か見ているのですが、この糸かせを沢山動かして見せる人と、ちょこっとしか触らない人と色々。今回は大分長いこと回して見せていました。そして、それだけでなく、割と動きのはっきりした演技でした。

女はふっと「裏山へ薪を取りに行く」と夜中に出て行きます。何やらいわくありげな様子で「閨を覗くなよ」と、念押しをします。このぞっとさせる感じが凄い。
そう言われたらおっちょこちょいの能力は見たくて見たくてしょうがなくなる。主人が寝たかと思いこっそり覗こうとして怒られる。この、寝たふりの仕草が面白い。丸めた両手を目玉に当てたり、広げた扇を顔の前に掲げてみたり。熱演で楽しい。

そしてやっぱり閨には恐ろしい腐乱死体の山が…。何かと理由をつけて逃げる能力。後に残って鬼と戦う僧。
鬼は白髪のザンバラ髪、般若の面。この場面は動きがあって好きなのですが、同じ鬼退治と言っても、道成寺とも違うし、鉄輪とも違う。そういうところもやはり演じ分けているのだろうな。

最後に鬼は弱り切って退場するのでした。
「閨を覗かなかったら無事に帰れたか」というのは良く話題になりますが、私は無事に帰れはするけれど、翌朝に豪華な山の幸が出され、それは実はあの腐乱死体…、というバージョンを考えているのですが。僧侶は生臭物は食べないかしらん。能力は食べちゃう。

観世清河寿、女の役をするときにも足がちょっと開くことが多い。ま、今回は田舎のおばさんだからOKだけれども、以前杜若を見たときには気になりました。調子が悪いと開くみたい。
それと、地謡が元気いっぱいだけれど今一つだった。影がない、というような抽象的なことを言いたくないが、なにか今一つでございました。頑張れ彌右衛門(ちなみに彌右衛門と芳伸、確かに似ているけれど年取ってきたらだんだん違ってきた)。
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by soymedica | 2014-11-10 20:15 | 能楽 | Comments(0)
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