能楽研究講義録 六十年の足跡を顧みつつ 表章 笠間書院
2010年9月15日 初版第一刷
表章が阪大で平成19年(2007年)に行った集中講義の内容。いかにして能楽研究の道に入ったか、どうやって資料を発掘したか、いかにしてそれが論文となったか。
手に取った時には専門的すぎてわからないのでは、と思ったのですが、学部学生も対象とした講義らしく、「史料の読み方」などは手取り足とり。嬉しい本です。いかにしてあの論文は、あの説は書かれたのか、研究態度は、など、全くの門外漢にも参考になります。研究に対する真摯な態度には頭が下がります。
今の能楽研究でデフォールトとなっている説や、良く知られている文献のほとんどがこの人発あるいはこの人を経由して発信されているというのは凄いことです。
自分は研究者として幸運だったと述懐されています。幸運の女神には前髪しかないかもしれませんが、それが幸運の女神だとわかるには日ごろの研鑽が必要です。