銕仙会定期公演7月 三井寺 伯母ヶ酒 熊坂

d0226702_22303457.jpg銕仙会定期公演7月
2014年7月11日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席6000円

三井寺 無俳之伝
シテ 浅井文義、子方 馬野訓聡、ワキ 森常好 ワキツレ 館田善博、森常太郎
アイ(能力)村田太一郎 
笛 藤田次郎、小鼓 幸清次郎、大鼓 亀井広忠
後見 観世銕之丞、長山桂三
地謡 片山九郎右衛門ほか

伯母ヶ酒
シテ(甥) 野村万蔵、アド(伯母)野村萬

熊坂
シテ 谷本健吾、ワキ 村瀬提、アイ 河野佑紀
笛 槻宅聡、小鼓 亀井俊一、大鼓 佃良勝、太鼓 徳田宗久
後見 永島忠侈、清水寛二
地頭 馬野正基ほか


あれ、と思ったのが本屋の前に並んで謡本を買っているお客さん。地味なスーツにシャツ、ネクタイなしの現役世代のビジネスマンのグループ。こういうお客さん、本当に珍しい。

なんの音もなしに笠をつけたシテがやってくる。無俳之伝とは「おかしなしのでん」、「おかし」つまり狂言が無い、とのことで、門前のものが母に三井寺に行くようにと勧める部分が省かれているものです。ま、無くてもそんなに間の抜けた感じにはなりません。
シテは「三井寺に行けという夢を見た」と言って三井寺に行くのですが、現代人の感覚としてはわりとゆっくり橋掛かりをあるいていきます。

さて、舞台は三井寺に。鐘楼の作り物は今回はわずかに正面から目付柱の方向に振っておかれています。ちなみに鐘の紐の結び方も、後見のたたみ方も矢来のときとはちょっと違う。
続けて観ると小書きの違いもありますが、同じ観世流でもちょっとずつ演出が違うし、シテの個性も違う。今回のほうが囃子が格段にうまかった…。

ところで、本日野村太一郎クン、座りなおしたり、どうしたのかな、と思っていたらセリフの出だしちょっと早かったりして不調でした。どうしたんだろう。

面は深井。名「桜女」水野出羽守忠周作。


伯母ヶ酒
萬と万蔵で観るのは初めて。ケチで一杯の酒もふるまわない伯母さんのうちに鬼に化けて入り込んでまんまと酒を飲む話。やっぱりこの二人は良いです。役者の個性を前面に押し出さない、でも萬と万蔵。


熊坂。同じ大盗賊でも石川五右衛門ほどには世間一般には知られていない印象。有名な牛若に退治されたおかげで自分の名前のついた能ができたわけ。
東国を見ようと出てきた僧の村瀬。この人、なかなか体格も良くてハンサムなんですが、いつも「ただいま練習中、頑張っています」みたいな空気を身にまとっているのと、調子に乗るまで音程に不安が…。
さらにそこに輪をかけるように囃子がそれぞれ勝手にやっている感の強い演奏をする。

やがて土地の僧らしき、なんだか幽霊じみた坊さんがやってくる。この人と地謡の努力でやっと能らしくなってきた。
「この辺は盗賊が多く、持仏堂には武器がたくさんあるし、私も戦うことがあるんです」という物騒なセリフをさらっというところが物凄く怪しい。
「お休みあれやお僧たち」というので、あれ、謡が間違っているとおもって解説を見たら、古くはワキツレがいた演出らしい。

土地の人がそれは熊坂長範の霊に違いない、と僧に説明。このアイとワキのところで舞台の空気が一気に緩むような感じがするのは何故?

熊坂長範の登場。橋掛かりを出てくるところからして、この人はきっとこういうものが苦手に違いない、と思わせる緊張。声を出すと謡はとても良いのだけれど、動きが何だか小さいなー。床几にかかっているときにも右手に持った長刀がひどく揺れるのが気になる。前に観た金剛流では「長床几」の小書き付でずーっと座っていたのでこれは楽なのだろうな、と思っていましたがそうでは無いことがわかった…。
ただし、立って演技しているときかなり息切れしていたようで、それはそれで大変なような。

後見の永島忠侈がひどく前のめりになって何かしたそうにしていたが、別に不都合はなかったらしいです。

ということで、前半に比べ後半に若干不満が残りました。もっとできそうな人なのにな。

面は作者不詳の長霊癋見
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by soymedica | 2014-07-13 22:33 | 能楽 | Comments(0)
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