国立能楽堂七月企画公演復曲・再演の会 敷地物狂

d0226702_2234112.jpg国立能楽堂七月企画公演 復曲・再演の会

7月5日(土)13時より
正面席6300円

解説 天野文雄

仕舞(宝生流)

実盛 クセ 高橋章
実盛 キリ 渡邊荀之助

復曲能 敷地物
シテ 大槻文蔵、子方 長山凛三、ワキ 殿田謙吉、アイ 野村万作
笛 竹市学、小鼓 清水晧祐、大鼓 山本哲也
後見 赤松禎英、長山桂三
地謡 上田拓司ほか


梅雨らしいお天気の土曜日。能楽堂にはそれほど日本語を解するとも思えない西洋人やら中国人やらが沢山。なぜ?
切符を売るときに解説は日本語のみ、と明記するべきじゃないだろうか。気の毒すぎる。

それはともかく、解説は面白かった。禅竹作とされるこの能。古い演能記録はあるが、その後途絶えていて綱吉時代に二度ほど上演されたけれど、その後は平成九年まで再演はなかったそうで、平成九年の再演にかかわったという天野先生は感慨深そうにその当時のお話をしてくださいました。
「そして『復曲』ということを熱心に始めた大槻文蔵さん、調べましたら最初の復曲能を手掛けたときにはまだ30歳代だった」と、驚いていらっしゃいました。

お話の大部分は国立のパンフレットとかぶるのでここには書きませんが、実際にあった話を下敷きにしてある曲だとのことです。


仕舞。敷地物狂の舞台となっている加賀市は「実盛」(首を洗って見たら髪は染めてあり老武者の実盛の首だったというあの話)の舞台でもあるとのことで、実盛のクセとキリ。最初のクセが終わったら地謡も引っ込んじゃって「あれ??」と思ったら次に全く同じメンバーが登場するのはなぜだろう。宝生流ってそうなのかな。


さて、敷地物狂。筋がどうこうという以前になぜ、子方?そうでないとシテがどちらだかわからない、とか、物狂の母子ものだからなのか、故郷に帰って説法するくらいに偉くなった比叡山の偉いお坊さん、12歳の時に家を出たというのだから、どう考えても子方は変。そして、思春期の大きく変わる時期を超えてしまったから母親にもわからなかったというわけでしょ?
などなど、筋の細部にはつっこみどころ満載なんですが、面白く観られました。

まず、えらいお坊さんである凛三クンが、そんなに偉くない坊さんの殿田を連れてはるばる洲河の里(菅生のなまりか、と天野先生)にやってくる。地元の菅生家の御曹司であった凛三くんは我が家に来てみれば跡形もない。野村万作が「一家離散しましたよ」と。お父さんはどうしたんだろう。古い形だと父親も登場したらしいが。

と、向こうから笠をかぶり笹を手に、そして薦に紐を通して肩から下げた物狂の女が。
その間凛三くんは切戸口からお父さんが持ってきてくれた半畳台に登り、蔓桶にかけます。
殿田僧侶が物狂に「その薦を貸してくれ」と言うと、女は「不浄の薦だから」血相を変えて拒みます。
それもそのはず、薦には大切な息子の書置きが挟んであったのでした。

でも、有難いお説教に皆が色々なお布施をしているのを見て、決心して薦を差し出します。
そしてその手紙を読んだ凛三くんはやっとみすぼらしい身なりの女が自分の母親だと知って喜ぶのでした。

大槻文蔵、とても上品に演じていますが、この人本人がきっと上品なんでしょうね。セリフが聞きやすいし、舞がきれい。
殿田は完全に子方に食われていました(笑)。この人ってあんまり色の無い演技をするので復曲能には良い感じなのかもしれない。

凛三くん、頑張りました。プログラムによると2005年生まれとのことなので9歳。物凄く自覚的に演じているように見えましたが、頭の良いお子さんなのでしょう。頑張ってほしい。というより、この子才能ありそう。

凛三(と後見のお父さん)&殿田以外は関西勢でしたので馴染みがありませんでしたが、とても良かったです。この曲もなかなか面白いので定着すると良いな。


面は洞水作の深井。

パンフレットが手に入らなかった方には
天野文雄著 能苑逍遥(中)に「向去却来」の言葉を中心にした解説が載っています。
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by soymedica | 2014-07-07 22:37 | 能楽 | Comments(0)
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