観世会定期能 三月 当麻 伊文字 雲雀山

d0226702_1239947.jpg観世会定期能 三月
2014年3月2日(日)11時より

当麻 二段返
シテ 観世清和、ツレ 坂井音雅、ワキ 宝生閑、アイ 山本東次郎
笛 一噌庸二、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 武田宗和、
地謡 野村四郎ほか

伊文字
シテ 山本泰太郎、アド(主)山本凛太郎、(太郎冠者)山本則重

雲雀山
シテ 上田公威、子方 馬野訓聡、ワキ 御厨誠吾、アイ(鷹匠) 山本則俊
、(勢子)若松隆、(犬引)山本則秀
後見 観世恭秀
地謡 角寛次朗ほか


肌寒い一日。能楽堂前の梅は3分咲きくらいかな。上手く写真とれなかったけれど。
昨年は当麻寺展で曼荼羅も見たし、当麻はもちろん、雲雀山にも期待。


宝生閑が二人のワキツレと共に登場。ここがあの当麻寺か、と話していると、小顔の若い女と、よぼよぼの尼登場。若い女はオレンジの着物、婆さんは紺系の着物に白い花帽子、白い房のついた白い数珠、杖をついています。
この杖の扱いが素敵だった。

ワキとワキツレが三人座っているのを眺めると、宝生閑が若干前かがみ。姿勢が悪いというのではなく、品の良いお年寄りという風情(実際にそうだけれど)。

当麻は「とうま」とも「たえま」とも呼ぶのですよ、などと色々寺の由来を教えた老婆は正中で杖を捨てて、二上山に登っていきます。
不思議なこともあるものよ、と聞いてみると、「それは中将姫の霊に違いない」とアイの東次郎が格調高く教えてくれます。でもね、前シテはお釈迦様かなにかじゃなかったっけ。

そして長い長い半幕のあと、中将姫の霊魂が登場。二段返と言う小書はここのことらしいです。これは後シテの登場の出端が長くなり、揚げ幕を半分上げ、シテが床几に座り、経文を持つ姿を見せる、という演出らしい。しかし残念なことに私の席からはそれが見えなかった。金の経文を左手に持ち、右手に中啓で登場します。経は浄土経らしい。ワキ僧は押し頂いて広げてよむのだけれど、その後ごそごそとどこかに置いちゃう。

長い舞を私に退屈させずに見せるのはさすが家元。
最後に橋掛かりで少し謡って二の松でおしまい。

観終って改めて折口信夫の「死者の書」って印象の強い話だな、と。謡を聞きながら、「ああ、これはあそこのところ」とか「あの人のこと」とか(完全に一致する話ではありませんが)思い出していました。


伊文字。「緋文字」???と思いませんか。ホーソンだっけ。全く違うコミカルでかつ優雅なお話し。清水寺で嫁がほしいと願をかける凛太郎。お告げの嫁を見つけたら、彼女は住所を歌で言うのだけれど、それが思い出せない太郎冠者。
凛太郎くん、まだ動作にメリハリが無いので、物凄く速く演じているように見える。一つ一つは同じセリフや動作の速さでも、メリハリをつけて間をつくるのが上手に見えるコツとみました。

通りがかりのものが伊の字のついた国を思い出すところは、能仕立てになっているのですが、東次郎はあまりそれを感じさせない演じ方でした。泰太郎ははっきり気付かせる。どちらが良いのかわかりませんが、笠の投げ方は東次郎に軍配。


次いで中将姫つながりということで、雲雀山。幕のかかった作り物の小屋がワキ座前に出されて、どうするのかなと思っていると、幕がそのまま降ろされて中には子方の姫が。
なかなか心憎い演出で、隣の小母さま(お稽古の人たちのグループの一人)なぞは感動して、「あら、可愛いわね。馬野くんって、お名前何て読むのかしら」としゃべりっ放し。

シテの上田公威はいつも後見というか働きで見ています。そういうのが得意で信頼されているのだろうな。ごつい感じの人ですが、面をかけるとアーラ不思議、たおやかな美人にちゃんとなる。

中将姫(子方)の父親に仕えていた家来と侍従が、義母の讒言で「殺せ」と言われた姫をかくまって山中にいる。
侍従が生活のために花を売りに里に下りると、偶然鷹狩りに来ていた父親の一行に会い、前非を悔いた父親と姫は再会し、めでたしめでたし、と言う話なんですが、これをたった60分(正確には65分)でやってしまうのだから忙しい演目です。

シテが綺麗な花(竹を割った先に葉蘭のようなものと花がついている)を持って色々なしぐさをして花を売るのが綺麗。そして間に入るアイの鷹狩り(タカは侍烏帽子で代用?)がはつらつとして一つの見せ場になっています。これはものすごく贅沢な人の使い方ですね。
舞台に出てくる順番が臣下のワキツレが先なので、高井を殿田と思いこんでいるんだが、隣のオバサン…。

シテは若干地味ですが良い出来だったし、楽しめましたが、囃子が今一つでしたね。まあ、最高のラインアップは当麻に持って行かれちゃいましたし。
最後は地謡が晴れ晴れとうたいあげて終わりました。子方くん、よく頑張って綺麗なお姫様を演じていました。


この後は失礼させていただきました。


物語の舞台を歩く 能 大和の世界 松岡心平 山川出版
雲雀山は最近でたあの分厚い4巻もの、「能を読む」にあります。
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by soymedica | 2014-03-06 12:44 | 能楽 | Comments(0)
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