銕仙会青山能一月 二千石 安達原

d0226702_2322199.jpg銕仙会青山能 1月
1月22日(水)18時半より@銕仙会能楽研修所
4000円

仕舞
道明寺
 観世銕之丞、
羽衣キリ 谷本健吾

二千石(じせんせき)
シテ(主)山本則孝、アド(太郎冠者)山本泰太郎

安達原
シテ 安藤貴康、ワキ 野口能弘、ワキツレ 野口琢弘、アイ 山本凛太郎
笛 槻宅聡、小鼓 田邉恭資、大鼓 安福光雄、太鼓 林雄一郎
後見 馬野正基、西村高夫
地謡 清水寛二ほか(計6人)


この前ここの能楽堂に来たときにも思ったけれど、老松の節の部分が妙に浮いて見える。おそらく周りの板が沈んだ色調になったことや幹の絵具が変色してきたことによるのだろうけれど、画家は直したいのではないだろうか(存命していればの話ですが)。


振り返ってみると二千石は何回も見ていますが、そのたびに受ける印象が違う曲です。野村万作&石田幸雄や山本則孝&山本東次郎なんかが印象に残っています。今回のも結構良かったけれど、後半の主の仕草を見て「先代にそっくり」と泣くところが弱かったかな。
それにしても泰太郎は物凄く汗をかいていて、終わってから後見の遠藤博義が床を拭きに戻ってきていた。熱でもあったのだろうか。


見どころ多い人気曲の安達原。大小前に芝屋が出されます。旅の山伏がやってきて長い長い旅をしてきたのにここ安達原についたら宿がなさそう、と。ワキのお二人、いつもワキツレだったので印象に残っていませんでしたが、兄弟でしょうか、声の質がとてもよく似ているし、謡がとてもきれい。
と、小屋の引き回しが下ろされて、中に寂しげな中年女性。銀色を基調とした模様と紺色の大きな縞の着物に、襟は水色、白地に銀を重ねている。これが凄く気に入りました。銕仙会はいつも衣装の趣味が良い。

それにしてもこの人、うたい出すと私はいつもとても驚きます。発音が独特。外人が日本語を話しているような発声。普段お話をしているときはどうなのだろう。

そして山伏が糸繰りを見せてくれと頼むと、「こんな卑しい仕事を人様にお見せするとは」と嘆きながらも糸車の前に座って、寂しい歌を歌いながら糸紡ぎをします。ここで私の後ろに座っている若い女性が「手が綺麗」と呟いていました。シテは確かに手のきれいな人で、糸繰りの見せ方が上手なのでなおさら。でも、女性が男性の手をほめるって、性的な意味があるのですってよ。あまり人前でおっしゃらない方が。

この宿を貸している女、田舎のオバサンにしては教養のある人で、源氏物語の話なんぞを引きながら糸繰りを見せます。小学館の謡曲の解説には巷の労働歌だったのでは、とありますが。

そして、薪をとりに山へ。「閨を覗かないでくれ」と、念押しをします。出て行くときに能力の前で少し佇む様子が、「これからこいつが閨を覗くだろうな」という先を予測させます。(小学館の解説には「一の松で思いをめぐらすのは鬼女としての期待であるのか、鬼であることが現れる不安であるのか」とあります。今回の演出ではまさに能力の前で足を止めるようになっていました。)

主人が戻ってくるのが遅いためか、なんと客人たちは彼女が戻ってくる前に、さあ寝ようと。ところが能力がどうしても閨を覗きたくなっちゃう。そのたびに目を覚ました二人が止めるのですが、もうそうなると能力は覗き見することしか考えられなくなってくる。この辺のやり取りがなかなかさまになっていて良かったです。
覗いてびっくり、腐乱死体が山のようにつみあがっている上に人魂も。(よく考えると食べてしまうなら、そんなに腐乱するほどの死体が残るものだろうか?頭蓋骨くらいしか残っていないのでは。骨髄も美味しいよ…。)

驚いた一行。能力は別の宿を探すために一足先に逃げ出す。そこへ鬼が帰ってくる。薪を前場の唐織と一緒に背負って打杖を持っています。唐織には後見が柴を片づけるまで気づきませんでしたが。

そしていよいよ鬼vs. 祐慶。どちらも若いので動きが良い。飛び安座と言うのでしょうか、飛び上がった後そのまま座ったり。
それにしても鬼の面って結構表情が出るものですね。動きも表現も楽しめました。
謡、囃子にも満足した晩でした。



面は前シテが深井(臥牛氏郷)、後シテが般若(中村直彦)。
参考は
日本古典文学全集59謡曲集2
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by soymedica | 2014-01-23 23:24 | 能楽 | Comments(0)
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