国立能楽堂一月定例公演 鴈礫 井筒

d0226702_1062768.jpg国立能楽堂定例公演
2014年1月18日(金)18時30分より
正面席4800円

狂言 大蔵流 鴈礫
シテ(大名)山本泰太郎、アド(使いの者)山本則秀、(仲裁人)山本則俊

能 観世流 井筒
シテ 梅若玄祥、ワキ 宝生閑、アイ 山本東次郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 山本哲也
後見 観世喜正、小田切康陽
地謡 片山幽雪ほか



前に一度見て面白かった記憶のある鴈礫(鴈と雁、字が二種類あるのに初めて気づいた)。大蔵流も烏帽子を鴈に見立てていますね。
気分よく散歩に来た大名。かっこよく弓矢を持っていますが、これが日本人にありがちな「恰好だけ立派」というやつ。後から来た誰かの家来に自分の狙っていた鴈を礫で先に仕留められ…。
大名の間抜けぶりと使いの者のすばしっこさの対照が面白い。


次は井筒なんですが

「…なお、本曲は、現在は能を代表する作品という評価が定着しているが、それは戦後のことで、明治から昭和初期には上演頻度も低く、特に評価が高かった形跡もない。本曲が現在のように評価を与えられるようになったのは、観世寿夫の存在によるところが大きいという見方があるが、そう考えてよいように思う。」能を読む② 世阿弥 神と修羅と恋 角川学芸出版

いくらシテが梅若玄祥でも絶対退屈してしまうだろうな、という井筒。よくよく見ると地謡が凄い。後列に味方玄、片山九郎右衛門、片山幽雪だって。

さて、最高の井筒を演じようと思ったらワキはこの人しかいない、とシテ方は皆思っているらしい宝生閑登場。昨年の激ヤセと比べるとちょっと太ったかな。良いことです。これが有名な在原寺か、と名所に立ち寄ります。
と、向こうから美女の登場。

玄祥の運びはまるで足底に吸盤がついているようで、特徴的。そして、女の役というのは太った人が良いのではないだろうか。なかなか良いバランスです。
それにしても後見が2人とも大きいのはわざとかな。囃子も大きな人たちだし。

前半、クリのあたりから蔓桶にかけて演じますが、これもなかなか良い感じ。それにしても、この人面のかけ方が上手なのか、使い方が上手いのか、それとも面が良いのか、まるで本当の顔のように感じられるのが不思議。地顔はあんなに大きいのにね。

東次郎のアイも強すぎず、弱すぎず、これぞ「井筒のアイ語り」というもの。

そして、後半の序之舞。そもそも井筒自体が全体に眠い曲なのに、序之舞なんぞやられては絶対に寝てしまうと思ったのだけれど、ちゃーんと楽しめました。そして井戸をのぞき込むときの角度の絶妙。

井筒というのは昔はそんなに人気曲ではなく、観世寿夫が何度も演じて世阿弥の代表曲となった、と聞きました。今回その理由がなんとなくわかった気がします。とても楽しめました。

地謡、囃子にも大満足しました。
今まで何回か聞いているはずの大鼓の山本哲也、今回初めて意識して聞きましたがとても良かった。掛け声が邪魔にならずに綺麗。

これだったら何度でも見たいけれど、やっぱり普通の人がやったら私は寝ちゃうだろうな、この曲。
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by soymedica | 2014-01-19 10:11 | 能楽 | Comments(0)
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