観世会定期能1月 翁 竹生島

d0226702_1894376.jpg観世会定期能1月 
2014年1月5日(日)11時より@観世能楽堂
中正面席

 
翁 観世清和、三番三 山本則重、千歳 山階彌右衛門、面箱 山本凛太郎
竹生島 女体
シテ 観世清和、ツレ(女)坂井音隆、(龍神)坂口貴信、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本東次郎
笛 一噌隆之、小鼓 鵜沢洋太郎、脇鼓 古賀裕己、田邊恭資、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯
後見 野村四郎、上田公威
地頭 角寛次朗

狂言 末広
果報者 山本則俊、太郎冠者 山本則秀、すっぱ 山本則孝


相変わらず観世能楽堂のお客さんは賑やか。切火の音もそっちのけで新年のご挨拶。やっと客席も静まり、凛太郎君の面箱から入場。ほんの数年前に見た時には子供子供していたのに、もうすっかり青年になった凛太郎君。緊張しているのか、捧げ持つものが重いのか、目付柱まで来た時には手がブルブル。表情もすごく硬い。

観世清和が新年のお清めと言う感じで厳かかつ坦々と謡ったあとに、山階彌右衛門の千歳、凄く力が入っていてそれはそれで好ましい。そして翁面をかけます。後見は一番安定感のある野村四郎と上田公威。面紐を縛る野村四郎の顔を見ていると、物凄く力を入れているように見えるのですが、まさかね。
翁の舞ってなかなか面白い。

そして翁と千歳が退場。小鼓の鵜沢洋太郎の後見が大倉源次郎だったのですが、これが翁と千歳が橋掛かりを歩く間ずーっとそっちを見ている。おそらく幕入のタイミングを小鼓に知らせるためでしょうけれど、ちょっと面白かった。

三番叟。考えてみると大蔵流の三番叟を見るのはこれが初めてかもしれない。とても良かったです。揉之段の力強さが印象的。鈴之段では鈴が一個はずれてお白洲に落ちちゃった。


さて、竹生島。女体という小書きが付いていて本で読むところによればこれは金剛流と喜多流にしかない、とのことでしたが、これは入り口で渡されたパンフレットの東次郎の随筆に詳しい。以下主要な点を拾うと:
観世流の『女体』は観世左近と喜多実の話し合いで観世流の『松風 戯ノ舞』と喜多流の『竹生島 女体』を伝授しあったときもの。この小書きが付くと、アイは弁財天に使える末社の神になる。通常末社の神に使う面は『登髭』だが、この場合はより位の高い「鼻引」を使い、白垂(しろたれ)に末社頭巾、装束は厚板に縒水衣、下袴となる。とのことです。このアイは井伊直弼がつくったもので云々

一畳台にのった小宮を笛座前に置いて始まり始まり。あれ、大鼓が床几にかけない、と思ったらワキの登場の時に腰掛けました。
ワキは紺地に金の狩衣、ワキツレ2人は朱色と金(赤大臣というのだそうな)で華やか。「竹に埋まるる鶯の竹生島詣いそがん」をワキ、地取、ワキと念には念を入れて謡います。謡三遍返しというのだそうです。
後見がここで舟を脇正面よりに置きます。とてもきれいな女性が釣竿を持って登場。金と白の唐織、オレンジの水衣、裾からグレー地にピンクの梅のいでたち。後からお爺さん。手ぶらで出てきますが、船に乗ると後見が棹を渡してくれます。

この釣り船にワキは乗せてもらい、琵琶湖の美しさを楽しみます。残念なことに私の座っている位置からはこの綺麗なお姉さんがちょうど柱の陰に。宝生欣哉と観世清和翁の一部が見えたのみ。一行は竹生島に上陸。
ワキが「あれ、ここ女人禁制じゃないの?」と一緒に上陸した女性に聞くと、2人はそれぞれ「本当はここの神さまと海の主なのよ」と正体を明かします。この小書きでは女性の方が橋掛かりで「社殿の扉を押し開き」と扇で開く様子をして幕入。翁は「波にいらせたまいけり」で小宮に入ります。

そして前述のアイ語りとなります。ここで、この島が一夜のうちに出現したことや弁財天のご利益などが語られます。
後ろの小鼓の鵜沢洋太郎がなにかごそごそしているな、と思って見たら凄い汗。大鼓の柿原弘和も汗かいていたようですが、舞台の上は暑かったのでしょうか。客席もやや暖房が利きすぎの感がありましたので演者も囃子も大変だったのでしょう。

前シテの翁が後シテの天女となって出てきます。引き回しが下ろされるときらきらした飾り物の中にとても美しい神様が。男女が入れ替わるところがちょっと気になりますが、そんなことを忘れさせるくらい綺麗。頭には太陽のような飾り物をいただき、右手には剣。この時には下半身が見えないので全身白(後で立った時に見たら袴は赤でした)。「弁財天とはわがことなり」。剣は残念なことにすぐに唐団扇に持ち帰られてしまうのですが、作り物の中で剣を押し戴くポーズは凄くきれいだった。
後シテの舞は盤渉中之舞、だそうです。そして龍神も登場。手に黄金の玉を持っていて、それを宝生欣哉に上げます。押し頂くかと思ったら、お辞儀もせず。ここが不思議。
そして皆さん目出度く退場いたしました。


引き続いて狂言の末広。囃子入りです。ちょっとここまでが長かったのでトイレ休憩に立つ人が多く、気の毒な感じでしたが、面白かった。則秀と則孝。うーん、やっぱりすっぱをやっている則孝の方が人が悪そうだものね、と思ってから頭の中で二人を入れ替えてみると則秀の方が悪い奴にも思える。
この曲、こんなに楽しいものだったかな、と思わせる出来でした。山本家はやっぱり凄い。

実はこの後羽衣、小鍛冶と続くのですがここまでで集中力が切れたので失礼しました。

参考は
能の鑑賞講座一 三宅襄 檜書店
金剛流の「女体」の小書きについても触れられています。またちょっとこれとは違うらしいです。
本日のパンフレットの山本東次郎と松岡心平の文も大変役に立ちました。松岡のほうがちょっと触れていましたが、中世には竹島の地下が地球の中心であるという思想もあったようです。この辺の世界観については前に紹介した「龍の棲む日本」でどうぞ。
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by soymedica | 2014-01-06 18:16 | 能楽 | Comments(0)
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