銕仙会定期公演 12月 兼平 法師ヶ母 善界

d0226702_23263161.jpg銕仙会定期公演12月 兼平 法師ヶ母 善界
2013年12月13日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席 6000円

兼平 
シテ 柴田稔、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 館田善博、野口能弘、アイ 小笠原匡
笛 一噌隆之、小鼓 幸正昭、大鼓 佃良勝、
地謡 浅見真州ほか

法師ヶ母 
シテ(夫) 野村万蔵、アド(妻)野村万禄
地謡 野村萬ほか

善界
シテ 谷本健吾、ツレ 安藤貴康、ワキ 典久英志、ワキツレ 森常太郎、御厨誠吾、アイ 河野佑紀
笛 槻宅聡、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井洋祐、太鼓 林雄一郎
地謡 観世銕之丞ほか


本日はドームでジャニーズのコンサートがあって、しかも開始・終了時間がほとんど同じだったらしく、大変な混雑の水道橋。
パンフレットの写真(碇潜と巻絹)を見て、先月のことが遠い昔のように思えるような怒涛の年末を過ごしています…。

前に一度金剛流で見たときにピンと来なかった兼平。まず、ワキが登場し、柴舟が出てくる。後見が肩肘はって控えているなーと思ったら、シテの登場とともに出てきて船を抑えて棹を渡します。そんなに緊張して待つほどの事か?

ま、それはともかく、柴舟をあやつる地元の人とは思えないほど格調高い爺さん。旅の僧は乗せてもらいます。かわいそうなことに観世流でもワキツレは乗せてもらえない。
旅の僧を乗せての名所教えが前半の山場なのですが、シテが結構「あちらが」「こちらが」と教えるのに、前の席に座っている旅の僧は前を向いたまんま。ちょっとは名所のほうを向いたらどうだ、と思うのですが。そもそも柴舟によびかける「のうのう」があんまりよくなかったので、私の点は辛い。

どうも初夏に琵琶湖をわたっているという気持ちの良い想定らしいのだけれど、船頭は旅の僧たちがぼんやりしている間に消えてしまう。

幽霊では無い、本物の船頭がやってきて「それは兼平の幽霊に違いないと教えてくれます」このアイはなかなか良い感じ。

そして僧が回向していると、兼平の幽霊登場。僧の夢の中かもしれないし、本当にやってきたのかもしれない。そしてこの武将はそもそも兼平なのか、木曽義仲なのか。乳兄弟として立派に義仲を死なせることができなかった執心が現れたのでしょうね。

兼平の霊は華麗で哀れでなかなか良かったとは思うのですが、特に後場の後のほうは小ぢんまりとしてしまって、あんまり強そうではありませんでしたね。合戦なのだからもう少し舞台が狭く見えるくらいの存在感がある役者のほうがこの演目には似合っているのでは。ちょっと真面目すぎる感じでした。

面は前シテが三光尉 古元休(どこまでが苗字??)作、後シテが霊神 臥牛氏郷作だそうです。


兼平が90分ほどなので、休み時間が短い。
でも、法師ヶ母は私の中での注目の万蔵なので頑張って見る。
しかしですよ、これはいつ頃造られた曲なんでしょうね。外で散々酔っぱらって帰ってきて家で「また飲もう」、そうして翌日反省って、我が家と同じじゃない!
この主人公の奥さんは茂山千作の奥さんと違って「出ていけ!」と言われると、出ていく(千作の奥さんは「私はお義父さん、お義母さんに可愛がられているから出ていく必要ない、あんたが出て行きなさい」と言ったそうな)。

でも、笹担いで奥さん探しに行って無事に会って、奥さん帰ってきてくれて良かったね。
囃子つきなのですが、一度も見たことのない人たちだった。


ちょっとひねったら狂言にもなりそうな善界。前に見たときは前シテ、ツレは面をかけていたので、直面にちょっとびっくり。こちらがスタンダードな演出らしいです。
そしてシテもツレも山伏の格好をしていると物凄く若く見える(もっとも私は最近18歳以上40歳以下は全部同じ歳に見えるのですが)。
元気な囃子(特に大鼓)が意外に邪魔にならずに曲想に合っています。ちゃんと謡が聞こえるように双方配慮しているようです。ツレの安藤貴康の発声ってちょっと特徴がありますね。
シテの謡は「きっちり」という感じでした。天狗だからその方がいかにもという感じで強そう。

天狗たちはひそひそと日本制覇を、でもあくまでも恰好よく相談。座る所作がクール。ちょっと地謡が残念なところがありましたが、十分後半に期待させる展開。
ところで、愛宕山、NHKを連想するのは私が関東人だからか。ネットで検索するとあちこちにあるらしいですね。

アイの能力登場。萩箒に手紙をつけて持っています。これがいつも不思議。手で持たないのは尊い方の手紙に触らない、ということでしょうか。イギリスでも貴族の家のメイドは主人に手紙を取り次ぐときには手袋をして、銀の皿に載せるそうですが。
今回はどうやら嵐は来ないらしいです。

車がワキ座に出されます。これに乗るのはもちろんワキの僧なのですが、ということはこの作り物は下宝生の人たちが作るものなのか?
ワキの声が物凄く良くってご利益ありそう。
この後蔓桶が出されるのですが、それを持ち出す地謡後列のかたが、とても辛そうでした。こういう時には後列の端にはもっと若い人を置いておいた方が良いと思います。

そして、悪い天狗が名乗りをあげて、一瞬恰好よいのですが、あとからあとから僧の仲間の神様が出てきてやっつけられてしまうことに。仮面ライダーかウルトラマンかなにかにこういうシチュエーションあったような。こうなると判官贔屓の日本人は天狗の味方になるのではないだろうか。

何はともあれ、悪い天狗はやっつけられて雲にかくれてしまうのでした。昔のヒーローもののような曲。正義の味方(ワキ)はそれはそれでカッコ良いのだけれど、悪役が一抹の哀愁を感じさせる筋書は日本の伝統なのかもしれない。
天狗たちが若々しくて爽やかな、楽しい一年のしめくくりでした。

後シテの面は大癋見で洞水作とのこと。


追記:シテの谷本さんに教えていただきました。
…能で使う作り物は全て車はシテ方が作ります。車作るのに二時間弱果かかるんですよ。ちなみに古元休は苗字も名前も無いんです。あえて分けるのら古・元休でしょうか。
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by soymedica | 2013-12-14 23:28 | 能楽 | Comments(0)
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