国立能楽堂11月 太刀奪 国栖

d0226702_8235842.jpg国立能楽堂11月 普及公演
11月9日(土)13時より
正面席4800円


「国栖」と壬申の乱伝説 倉本一宏

狂言 大蔵流 太刀奪(たちばい)
シテ(太郎冠者)丸石やすし、アド(主)網谷正美、アド(通りの者)松本薫

能 宝生流 国栖
シテ 辰巳満次郎、ツレ(姥)山内崇生、(天女)和久荘太郎、子方(浄御原天皇)和久凛太郎、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平、アイ 茂山正邦、松本薫
笛 一噌幸弘、小鼓 幸清次郎、大鼓 大倉正之助、太鼓 梶谷英樹、
後見 大坪喜美雄、常山淳司
地謡 武田孝史ほか


本日雙葉の高校生多数。この演目なら退屈しないでしょう。
まずは倉本先生のお話から。ハンドアウトのある解説は国立では珍しい。よくわかりました。吉野と周辺の地理、国栖魚伝説の作られ方など。
もっと壬申の乱について知りたくなって倉本先生の御本をe-honのお気に入りにポチ。
本日出店していた檜書店も解説者の著書を置くとかすれば良いのにね。


太刀奪。狂言の演者は全然見かけない名前だったので期待もしていなかったのですが、大変に失礼しました。茂山一門の人たち。素晴らしかったです。関西の狂言は「ことば」を大事にし、関東では「舞」を大事にするということですが、テンポ良くたたみかけるせりふ、太刀を奪おうとするときのコミカルな仕草、笑いました。よく考えると筋はそんなに大笑いするものではないのに。

まゆあい(眉合)の延びたやつかと存じたれば,目の鞘のはづれたやつでござる

まぬけかとおもったら、抜け目のない奴だな、という意味だそうで、ひとつ賢くなった。


壬申の乱伝説の話を前振りとして出されると、いっそう風景が大きくなったように感じられる国栖。一世代前の教養人は解説なぞなくてもちゃんと感じていたのだろうな。いやあ、本当に役に立つ解説だった。

今回の大鼓が悪かったというわけではないのだけれど、こう亀井親子ばかり聞いていると、他の人が出てくると変な感じ、というか亀井親子が好き。

さて、天皇一行がいずくとも知らぬ山中に到着。解説のハンドアウトにあった写真を思い出すと物凄い山の中。2,3日ろくなものも食べていないと言うのも納得。出だしのワキ謡がなかなか綺麗。
そこに山奥に住む老夫婦がやってきて、「おや、家のあたりに紫雲が」。夫婦は小さな川舟に乗って帰ってきます。お爺さんは竿を、お婆さんは釣竿を持って。

尊い人がお腹をすかせていると言うので、お婆さんは根芹を、お爺さんは鮎を捧げます。天皇は半分食べた鮎をお爺さんに下げ渡すとお爺さんはそれを川に放ちます。鮎は生き返って泳いでいき、これは吉兆(そういえば鮎の字は占う魚)。
シテの辰巳満次郎、華のある人なんだな、としみじみ。型も謡いも数日後の今、印象に残っています。

と、そこへ追手が。天皇は干してある舟を裏返してそこに隠れます。完全に舟をかぶせるほど子方が小さくないので、ちょっと斜めに。
追っ手の事なかれ主義に助けられ、やれやれ。天皇のありがたい言葉を頂いて老夫婦は涙します。この涙をする手がおでこの位置にあるので、外人に「頭がいたいのか?」と思われたわけですね。
ここまでで既にかなーり満足できる内容でした。

そしてお爺さんとお婆さんが帰ったあと、天女の登場。これも華やかで素敵。昔の宝生流は袖の扱いが上手でない人が多かったとのことですが、今はそんな人いませんね。そして赤い髪の毛ぼうぼうの蔵王権現もあとから登場。(なぜ最初のうちは衣をかずいているのでしょうか。)この蔵王権現、前場のよぼよぼした気力ばかりが先走るお爺さん(演技を褒めています)と同じ演者とは思えないほど堂々としている。切り替えが素晴らしいですね。

面は前シテが三光尉、後シテが大飛出、前ツレが姥、後ツレが小面


ということで、満足した一日でした。
でも、東次郎の釣狐、切符手に入らなかったのよねー(恨)。
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by soymedica | 2013-11-13 08:28 | 能楽 | Comments(0)
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