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ロスト・イン・ヨンカーズ

ロスト・イン・ヨンカーズ_d0226702_8143256.jpgロスト・イン・ヨンカーズ
10月28日19時より@パルコ劇場
8500円(全席)

作:ニール・サイモン
上演台本・演出 三谷幸喜

ベラ:中谷美紀
ルイ:松岡昌宏
エディ:小林隆
ジェイ:浅利陽介
アーティー:入江甚儀 
ガート:長野里美
ミセス・カーニッツ:草笛光子


誰が出演するのか、どんな話だかほとんど知らずに行ったのですが、当たりでした。
第二次大戦中のニューヨークの下町、lower middleと思しきユダヤ人一家の話。借金返済のために一年の予定で商用旅行に出た父は二人の息子ジェイとアーティをヨンカーズでアイスクリーム屋をやっているお婆ちゃんに預けます。お婆ちゃんは一族に君臨する伝説の鬼婆。高校を卒業することのできなかった若干知恵おくれの30歳代の娘ベラと暮らしています。

この少年二人の成長物語と思いきや、話はベラとお婆ちゃんの関係、そしてお婆ちゃんの家に転がり込んできたチンピラだけれど魅力的なベラの兄ルイがからみます。
どうやらお婆ちゃんは大変苦労してドイツから移民、6人の子のうち2人を失ったようなのですが。そのころのドイツといえば両大戦に挟まれたたいそうなインフレだったはず。帰る場所のないユダヤ人でありながらドイツ語を懐かしみ、ドイツ風のスープを作り、子供たちに君臨しているようで疎まれている頑固者、というのが会話のうちから透けて見えます。

なんとなくああ、とうなずく人もいる設定かもしれませんが、大変に良い舞台でした。お婆ちゃん役の草笛光子が綺麗すぎるのが視覚的にはちょっと。子供のころの高熱で知恵遅れになったベラが家族を集めて切々と語るところでは思わず涙してしまいました。

お話は誰の身の上にでも起こる、と言うものではないけれど、「ああ、こういう人いるよね」「普通こういう反応するよね」と観客の共感を呼ぶのが上手い構成になっています。原作はどうなっているのか一寸知りたくなってきます。
切符が手に入ったなら是非見てください。お勧め。
by soymedica | 2013-10-30 08:19 | その他の舞台 | Comments(0)
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