銕仙会定期公演5月 橋弁慶 塗師平六、海士

d0226702_88231.jpgb>銕仙会定期公演5月
5月10日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席6000円

橋弁慶
シテ 観世銕之丞、子方 馬野訓聡、トモ 安藤貴康、アイ 中村修一
笛 藤田朝太郎、小鼓 亀井俊一、大鼓 亀井広忠
地謡 柴田稔ほか

塗師平六(ぬしへいろく)
シテ(塗師平六)野村萬斎、アド(師匠)野村万作、小アド 高野和憲

海士 懐中之舞
シテ 清水寛二、子方 長山凛三、
ワキ 野口敦弘、ワキツレ 野口能弘、野口琢弘
アイ 深田博治
笛 藤田貴寛、小鼓 鳥山直也、大鼓 佃良勝、太鼓 徳田宗久
地謡 浅井文義ほか



橋弁慶って、チャンバラが見せどころの楽しい曲ですよね。まず、弁慶がお供を連れて登場。重々しく「五条天神に願掛けをして丑の刻詣でをし、本日結願であるぞよ」という弁慶に「怪しい子供が五条の橋に出るから今日はやめた方が」という従者。安藤貴康、なかなか凛々しい人です。そして、この両者のセリフ、軽重があって面白いのですが、トモのセリフの方が適度な軽さを出す必要があるために難しいかもしれない。
弁慶はいつもの山伏姿では無くて白大口に縞の着物。

今晩はあやしい奴が五条の橋に出るから行きたくないなーと、アイの中村クン。来なくていいと言われると途端に強気になって「行きたかった」。若干セリフに緩急が無いのが残念でした。

そしていよいよ牛若登場。「ははのおおせのおもければー」と、甲高い子方の声で謡われるところが好き。弁慶はしきりと長刀で女装した牛若を確かめるしぐさをしますが、あれは失礼では。観世の者を見るのは初めてですが、喜多ではあのしぐさは無かったような気がする。長刀を牛若がちょいと払ったり、してチャンバラ始まりー。うーん、今一つの迫力でした。

それにしても本日の小鼓は宜しくありませんでした。残念。


塗師平六。京で喰いつめた塗りのお師匠が弟子平六を頼って都落ち。ところが留守をまもる女房が「うちの人は腕は今一つだけれど、ライバルがいないので繁盛している。お師匠に居座られて仕事を取られては大変。」と、「うちの人は死にました。」
ちらっと顔を出した平六(この「おなつかしや―」のところがセリフだけで笑わせる)、でもお師匠様にもっと会いたいし、まだ習っていないこともあるし、と、幽霊になって登場。能の構成を踏まえています。

若干アンチクライマックス(オチがなくて、最後は皆しずしずと能のように退場)ですが、面白かった。銕仙会では初めての上演とのことで稀曲なのでしょうか。
喰いつめた人の良い常識人のお師匠と、間抜けな平六(野村萬斎はおバカの役が上手)はもちろんのこと、高野和憲も良かったです。最近高野・深田がとても良く感じられます。

かなり前から満席となっていた公演だったのですが、狂言が終わったあと、かなりの人が退席。なぜ??海士、良かったですよ。


海士も子方が活躍する曲です。子方の衣装は大臣の役だけあってとてもキラキラ。そして凛三クンはなかなか美声。音感も良いのでは。
ワキの大臣の従者、奥からワキ、ワキツレと並ぶのはいつもと逆。

海士登場。唐織右肩脱ぎで、この唐織が斜め格子でしゃれています。右手に鎌、左手に海松布(杉の葉だということですが)。
有名な玉の段。鎌を持ってやります。海底の部分は橋掛で。さすがにクライマックスは舞台にもどります(大悲の利剣を額に当ててのところで戻ります)。

ビックリした一行、聞けば海士は大臣の母の幽霊。地元の人にいわれを聞くと、相手が誰かも知らないで、宝珠奪還の話を始めます。深田博治、良かったです。

ここで大臣は先ほど母にもらった扇を開いて謡いだすのですが、顔がちっちゃいから扇が凄く大きく見えて可愛い。

すると、お経の巻物を手にした龍女登場。この巻物をいつどうするかについて色々演出があり、龍女が舞う時にそれをそのまま懐に入れるのが「懐中之舞」だそうです。懐に入れてシオってから舞います。

最後はそのお経を子方が捧げて退場するのですが、これも素敵でした。

面は前シテが曲見、後シテが泥眼。古くは後シテはもっと人間離れした面で舞われていたとか(by堂本正樹)


参考は小学館新編日本古典文学全集。
[PR]
by soymedica | 2013-05-12 09:19 | 能楽 | Comments(0)
<< 国立能楽堂5月普及公演 左近三... 贈与の歴史学 儀礼と経済のあい... >>