能 現在の芸術のために 土屋恵一郎

d0226702_1227716.jpg能 現在の芸術のために 土屋恵一郎 岩波現代文庫


絶版なのでアマゾンマーケットプレイスで購入。
身体へ、テキストへ、世阿弥へ、の三部構成。


面を選ぶということはどういう意味があるのか、そして歴史的に面とはどういう発展をしてきたのか。
装束の種類とその意味。
源氏物語に素材をとった能についてのところで連歌との関連を「源治寄合」という連歌のための辞書(今で言うなら慣用句あるいは警句辞典といったところ)に目を付けて論じているのは初めての知識でした。
幽玄、花、などの言葉に関する歴史的解釈の変遷についても触れています。

能はもともと民俗的なところから出発し、義満臨席の時の翁を座の長老ではなく、人気役者の観阿弥が舞った時点から能は規範に乗った秩序ではなく、人気と言うものに左右されるようになったと論じています。しかし、江戸時代になって武家式楽となり、また人気ではなく、「捧げもの」となったことによって、ある程度室町の形式が保存されたというのは歴史の皮肉ではないでしょうか。

十分面白かったのですが、どちらかと言うと哲学に寄った感じの本です。もっと史料に基づいて素人向けに論理を展開する本があれば面白いのに。
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by soymedica | 2013-04-18 12:28 | 能楽 | Comments(0)
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