木月孚行の会 羽衣 鐘の音 正尊

d0226702_1813239.jpg独立四十五周年記念 第二十回 木月孚行の会2013年3月30日(土)@観世能楽堂
正面席10000円

羽衣 彩色之伝
シテ 木月孚行、ワキ 宝生閑
笛 一噌仙幸、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 武田志房、寺井栄
地謡 野村四郎ほか

鐘の音 
シテ 山本東次郎、アド(主)山本則孝、山本凛太郎

正尊 起請文 翔入
シテ(正尊)観世清和
ツレ(義経)角寛次郎、(静)武田章志、(江田)山階彌右衛門、(熊井)観世芳伸、
ワキ 森常好、アイ 山本則孝
姉和 野村昌司、朗等 清水義也、坂井音雅、武田文志、武田宗典、角幸二郎、坂井音隆、木月章行、武田友志
笛 一噌隆之、小鼓 幸清次郎、大鼓 国川純、太鼓 観世元伯
後見 関根祥六 武田宗和、武田尚浩
地謡 谷村一太郎ほか


先日落語に行ったらこんな話のマクラが:
歌舞伎の客は俳優のファン。文楽の客はオタク。能の客は「能を見ている自分」のファン。だそうですヨ。


羽衣のシテはこの会の主人公、ですからワキから囃子、地謡にいたるまで豪華メンバー。宝生閑、とっても気になるのですが、まだ本調子では無い。あんなに緊張した表情なのは本人もそれを自覚しているのでしょう。
色々と考えるところのある舞台でしたが、羽衣ってこんなすごいメンバーでこんな平均年齢でやるものなのだろうか。もっと若手で軽く、明るくやってほしい。今まで観た中での最高のメンバーでしたが、最高の出来とは感じられませんでした。


鐘の音は昔、野村萬で見ました。細部はちょっと違いますが、東次郎の鐘の音も良かったです。おめでたいものですね。持っていた扇が銀色でとてもきれいでした。


正尊は二度目。観世清和、これが好きなのだろうか。昨年の2月にも宝生欣哉のワキで見ましたが、今回は森常好。最近絶好調の森と比較すると、とっても残念だけれど宝生閑は残照という感じです。でも、いつまでも元気でいてくれればいいや。
(でも森常好、お辞儀する時手が床につかないんですよ、ちょっと痩せないと。)

まず義経、静たちが出てくるのですが、武田章志クン、いくつなのだろう。物凄く小さくて衣装を着て歩くのがやっとという感じに見えます。ま、舞台だと誰でも幼く見えますが。

病と称して引っ込んでいるあやしい正尊。弁慶が手を引いて義経の前に引き出す。出てきた正尊、「いえ、本当にお参りなんです」と起請文を読む。もともとここはワキの読むもので「起請文」の小書きのときにシテが読むそうです。それにしても観世清和、この沙門帽子というのでしょうか、金襴のかぶり物が似合います。

この後静の舞。ちゃんとした中の舞なので大丈夫か。途中で「ん?中の舞ってこんなだったっけ」と思っていたら凍りついたように動かなくなる子方。(囃子方って凄いですね、冷静に演奏し続ける。)後見がやってきてお手伝い。でもワカのあたりで後見は引っ込んじゃうんですよ。後見の皆さん、シテはベテランで一人でできるんだから、子方を見ていてあげなさいよー、と思ったのは私だけではないはず。

色んな意味で緊迫した静の舞が終わり、正尊は幕へ。ここで振り返って義経を見据えるのが注目の場面だと山崎雄一郎さんの解説(お家の会だというのに、凄い力の入り方のパンフレットですよね)にあります。ふだんあまり表情を作らない能ではめずらしいですね。

そして義経が女に様子を見させると、先にやった禿が切り捨てられているし、正尊は討ち入り支度の真っ最中。それを聞いてこちらも(静も)勇ましく準備をします。でも義経も弁慶も支度は立派だけれど、実際にやっつけるのは家元の双子の弟、江田と熊井です。双子の与える視覚的面白さを十分に狙った切り組ですね。

郎党が勢ぞろいして橋掛かりにたつと、見所からため息が。豪華です。切り組になり、立派な倒れ方をすると、見所から「おー」という声が上がったり、拍手する人がいたり。皆たっぷり楽しみました。
最後に正尊に縄をかけて退場(もうちょっとスムースにやってほしかったかな)。


参考は
能舞台の主人公たち 権藤芳一 淡交社 
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by soymedica | 2013-04-01 18:17 | 能楽 | Comments(0)
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