国立能楽堂3月 定例公演 腹不立 善知鳥

d0226702_11233241.jpg国立能楽堂3月定例公演
3月15日(金)18時30分より

腹不立(はらたてず)(大蔵流)
シテ 善竹十郎、アド 大蔵吉次郎、大蔵千太郎

善知鳥(観世流)
シテ 浅見真州、ツレ 谷本健吾、子方 谷本悠太郎
ワキ 宝生閑、アイ 大蔵基誠
笛 一噌庸二、小鼓 林吉兵衛、大鼓 亀井忠雄、
後見 武田志房、清水寛二
地謡 浅井文義ほか


狂言はパス。生意気にも演者が好みで無かったので…。

善知鳥。解説本にはツレと子方は出置、とあるのですが、囃子と地謡が座った後にでてきたのはワキ。え?と思ったら休演の続いていた宝生閑。もともと小柄な人だけれど、もっとやせて色も白くなった。病気療養中と聞いたが、何だったのだろう。1934年生まれとあるから79歳。肺炎でもやったのだろうか。小さな脳梗塞か心臓か…。そして、後見に欣哉が座った。この時点で「大丈夫か?」と思ったのですが…。

なぜ子供があんなに小さいのに父親の幽霊は老人なのか?青森の幽霊が立山に出てくるって?貧しい猟師の妻にしては難しことを言うじゃないか、などなど、この話は突っ込みどころが万歳ですが、それはそれ。話の筋も面白いし、カケリも有名。浅見真州、手がふくよかできれいすぎるところを除くと(逆に言うとどうしようもない手の綺麗さを除いては役になりきっていたということか)、とても素晴らしかったです。カケリも良かったですが、短い前場も。こういう曲が得意なんだろうか。イメージとして派手な感じの人なので、意外でした。

幽霊が旅の僧に自身の証拠として麻衣の袖を渡し、僧はそれを持って未亡人と子供のもとへ。ここでツレと子方登場。実際にも親子の二人。パパは隣の息子が気になるでしょうねー。立派に座っていたうえ、幽霊のお父さんに頭をなでられそうになって後ずさりするところなんてなかなか。ツレも素敵でしたが、子方が出るとどんな曲でも喰われますね。

ところで面をかけていると、余計に実年齢が感じられるものですが、このシテとツレ、年齢を逆転させる配役でやってみたらどうでしょう。
曲の哀れな親子に対し、このツレと子方の現実生活には未来がある。
その一方、
宝生閑、ショックでした。謡が出ない、立ち位置が決まらない。ほとんど詞章を知らない私にも、「ああ、この先でつまるぞ」とわかってしまうのです。じつは昨年一度「?」と思ったことがあるのですが、その時は詞章も立派に言えていましたし、なによりこんなに生気を欠いた感じでは無かった。
高齢ゆえに、休演が続いたら復帰できないと思い、本調子でないのに出てきたのか、それともこれが精一杯なのか。一度こういう舞台をやってしまうと、安定感が必要なワキとしてはまずいのではないか。ファン心理としては「良いじゃないのいつも欣哉を後ろに座らせておいて顔を見せに出てくれば」なのですが…。
この先人間国宝の閑に引退を勧められるのは息子だけでしょうけれど、こちらの親子はどういう選択をするのでしょうか。


面は前シテが小尉、後シテが痩男、ツレは深井。

写真はムクドリ。
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by soymedica | 2013-03-17 11:26 | 能楽 | Comments(4)
Commented by 感動人 at 2013-03-18 12:45 x
 良いブログを拝見しました。
 ともすると、演者に遠慮したり、ファンの誉めるだけのブログが多い中で、きちんと感想を主張される。個人のブログは、こうあるべきです。見巧者の参考になる、よいブログでした。もっと書きたいのですが、民生委員の研修中の休憩なので失礼します。これからも、ご期待します。
Commented by soymedica at 2013-03-19 12:22
感動人様、過分なお言葉ありがとうございます。宝生閑はファンが多いので怒られるかな、と思ったのですが、今のところはどなたも。
昔、「そもそもハコビが変」と書いたら素人弟子と思しき方からおしかりの言葉をいただき、さらにその流儀のえらい人に「良く書いた!」と鍵コメでほめられた、という妙な経験をしたことがあります。(多分流儀の中で引退してもらうかどうかのせめぎあいがあったのだと思いますが)。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-03 21:46
宝生閑、昨日の「紅葉狩り」もちょっと変でした。
心配です。
Commented by soymedica at 2014-11-03 22:52
実は友枝会、良くなかったとブログで書いている人がいたので(見巧者です)心配だったのですが。紅葉狩りの演目が良くないのでは、と思ったのですが。かなり先まで予定があるようなので心配です。
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