国立能楽堂特別講演 胡蝶 鬼瓦 望月

d0226702_2056532.jpg国立能楽堂 特別公演
1月26日(土)13時より
正面席 7500円

能 宝生流 胡蝶
シテ 高橋章、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本泰太郎
笛 杉市和、小鼓 観世新九郎、大鼓 安福建雄、太鼓 桜井均
後見 宝生和英、佐野由於
地謡 大坪喜美雄ほか

狂言 大蔵流 鬼瓦
シテ 山本則俊、アド 山本則秀

能 喜多流 望月
シテ 塩津哲生、ツレ 狩野了一、子方 友枝大風、ワキ 森常好、アイ 山本東次郎
笛 一噌庸二、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 中村邦生、粟谷浩之
地謡 香川靖嗣ほか


先日国立博物館に円空展を見に行ったついでに一室に展示してある狂言面も見てきました。一室にちょこっと展示してあるだけなのですが、これが面白い。祖父(オオジ)面に、かなりリアルに顔面神経麻痺を表現していると思われるものが…。

さて、胡蝶。前回銕仙会で見たものが意外に記憶に残っていて見ながら自分でビックリ。鵜澤光のときは動きの美しさ、可憐さが記憶に残っているのですが、今回は前の詞章の美しさが印象に残りました。
田舎から出てきて都の立派なお家の中に咲いている美しい梅。そこに綺麗な女性が登場し、そのいわれを語る、言葉がまだ寒い京都の綺麗な梅を想像させます。
後半は舞。
面が比較的地味な感じで唇の色も薄い。もう少しお化粧して上げたい感じでした。
シテはかなりのご高齢であることが衣装を着ていてもしぐさから見てとれてしまう。変形性関節症特有の動きがあるような。全く門外漢からみると、個性、年齢と曲が合っていないような気がするのですが、通の方たちはどうご覧になるのでしょう。
80分弱の長い曲でした。前に見たときには短い曲だな、と思ったのですが違った。


鬼瓦は、これから田舎の大名が因幡堂の鬼瓦を見て「妻にそっくりだ」と泣く話。前にも見た15分ほどの短い話ですが、好きな演目です。シテの迫真の演技。奥様は鬼瓦に似ているのでしょうか?(失礼)。


子方が活躍する動きのある楽しい曲、望月は二度目です。前回も子方は友枝大風くんでした。今お誕生日が来ていれば10歳。前は子供子供していたのに、ふとしたしぐさや表情が少年になりましたね。作中人物の実年齢に近い。
そして数か月ぶりに見るシテとしての塩津哲生。凄く年取った感じがしたので驚きました。病気でもなさったのか、体調が悪いのか。動きや謡には変化は感じられませんでしたが、全体から受ける感じが「お年寄り」。子方が傍にいるせいでしょうかね。

ともかく、ただの旅館の親父にしては立派なシテが待っているとかつての主人安田の妻とその子登場。お母さんは地味ながら立派な着物をお召しですが、夫を殺され旅をしているためか、こめかみに膏薬でも張っていそうな感じあり。
同吟は大風くんが大人にあわせてやろうぞよ、と頑張っている感じで面白い。

そこにおあつらえ向きにやっと訴訟が終わって所領を回復した望月も同宿。安田との争い事があってから13年もたってはいますが、従兄弟であった安田の妻にも従者にも気付かないというのはどうかなー。
宿屋の亭主とかたき討ちをしようとする母子がグルになっているのですから、かなうわけがない、あえなく殺されてしまう。そこにいくまで望月を油断させるために安田の妻が謡ったり―途中で子方が「いざ討とう」と叫ぶのが見せ場の一つですが、このタイミングが凄い!見せ場だということが良くわかっているのですね―子方が八撥を打ったり、亭主が獅子舞をしたりという楽しい曲。

油断してウトウトしている望月を、宿屋の亭主と子方が目配せをして「いざ」というとき、亭主が子方のお尻をたたいて仇望月の方に押しやるようなしぐさをするのですが、そこまで主従の関係って近いものでしょうか。宿屋の主人が「討たれた父の代わり」という想定でのしぐさなのでしょうか。なんだか、なれなれしいなー、と思いました。

そして子方が活躍する曲でありますが、ワキとアイが重要な曲でもあります。シテはもちろん獅子を舞わなくてはならない大切な役回りですが、何せ曲名は仇の「望月」ですし、アイやワキの演技、セリフが良くないといけない。その点今回は大満足でありました。

いやいやそれでもワキの望月は本当に気の毒です。作者もそう思って題名を望月にしたのでしょうかね。
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by soymedica | 2013-01-28 21:01 | 能楽 | Comments(0)
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