国立能楽堂一月普及公演
1月12日(土)13時より 正面席 4800円 解説 一角仙人、あまりに人間的な! 林望 狂言(和泉流) 文相撲 シテ(大名) 野村万蔵、アド(太郎冠者)、小アド(新参者)野村又三郎 能(観世流) 一角仙人シテ 山本順之、ツレ 浅見真州、子方 馬野訓聡、長山凛三 ワキ 高井松男、ワキツレ 森常好、森常太郎 笛 一噌幸弘、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 佃良勝、太鼓 小寺佐七 後見 永島忠侈、清水寛二 地謡 観世銕之丞ほか まだ大きな鏡餅がロビーに飾ってある能楽堂。一昨日の宝生では能舞台にもお飾りがかけてありましたが、こちらは注連縄だけ。ほぼ満席でした。 まず林望先生の解説から。金春禅鳳が作者と考えられていること。龍神は大人がやることもあるが、子供がやるのが本来であろうことなどのお話。 もともとはアイ語りがついていて、そこでは「ある仙人が修行中に鹿の交合を見て思わず精をもらし、それがついた草を食べた鹿が孕んだ子が一角仙人」という太平記のお話がそのまま語られる形だったそうですが、「能舞台で語るにはあまりに露骨なので止めたのではないでしょうかね」とのこと。 文相撲は、例によって間抜けでチョット見栄っ張りの大名が、もう一人家来を雇おうかと言う話。家来の特技は相撲だということで…。というお話。シテもアド、小アドも皆活躍する40分ほどの比較的長いものです。面白かった。野村又三郎は歩くときに印を結ばないのですね。お家によってそういうところがあると昔野村万作がどこかで書いていたのを思い出しました。 パンフレットの最後にある新田一郎「中世京都の相撲」は、一読の価値ありでございますよ! さて、本題の一角仙人。(多田富雄がこれをもじって一石仙人という新作能を作ったのは有名。)仙人が入っている藁谷のつくりものがワキ座に、龍神の入っている岩屋が一畳台にのって大小前に出されます。 美人スパイとして天竺皇帝としてつかわされた旋陀婦人が臣下を従えて登場。 銕仙会総出の舞台はワキもベテランぞろいというべきか、森常好が輿舁で登場して一節しか謡わないのにはびっくり。 山奥の一行に興味を持った仙人が庵から出てくる。仙人はかなり高齢。旋陀婦人のふくよかな大柄な感じと、仙人のしぼんだ感じの対比が面白い。 ただこの仙人、自分のいうべきことをしばしば忘れてしまい、後ろから助けが…。一度は節までついた助けが飛んできました。 肝心の「あら不思議や思わずも…岩屋の俄かに鳴動するは」のところも相当あやしく、どうなる事かと思ったら、 岩屋の中から可愛らしい龍神の元気な声が。思わずホッとする観客と舞台。岩屋が割れて可愛らしい二体の龍神登場。カッコイイー、と声をかけてあげたいくらい。 龍神たちは「僕たちカッコイイ役なんだぞ」とちゃんと分かっているような表情。おじいちゃんの仙人と戦って、ちゃんと勝って退場。ここは能とは言え盛大な拍手で送っちゃダメなんでしょうかね。 歌舞伎にもリメイクされたということで、面白い作品。また観たいな。 シテの面は「一角仙人」という専用面 旋陀婦人は「万眉」 「一角仙人」の面以外にも「真角」や「怪士」、「淡男」という面を代わりに使うこともあるそうです。これらの面には角がないのですが、これらの面を使う場合には「挟角」という角を別に用意して、これを額に取り付けるのだそうです。(ぬえの能楽通信より)
by soymedica
| 2013-01-15 08:32
| 能楽
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