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国立能楽堂12月企画公演 井杭 大会

国立能楽堂12月企画公演 井杭 大会_d0226702_15285567.jpg国立能楽堂企画公演12月 
12月7日(金)18時30分より
正面席 6100円


井杭(和泉流)
シテ 野村万作、アド(何某)月崎晴夫、(算置)石田幸雄

大会(喜多流)
シテ 高林白牛口二、ツレ 大島輝久
ワキ 福王和幸
アイ(京童)野村萬斎、竹山悠樹
アイ(木葉天狗)深田博治、高野和憲、内藤連、岡聡史
笛 一噌幸弘、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 徳田宗久
後見 中村邦生、高林呻二
地謡 香川靖嗣ほか



まずは不思議な隠れ頭巾をもらった井杭のお話。前に見たときは野村裕基クンが井杭でしたが、大人がやってもなかなか面白いものですね。万作のとぼけた感じと石田幸雄のもっともらしい感じが面白かった。


大会は、命を助けられた天狗が恩人の僧正に釈迦の霊鷲山での説法の様子を見せるが、僧正が信心を起こしてしまうので、帝釈天に怒られるという話。
本日は天狗が命を助けられる場面が冒頭に加えられており、そこを萬斎と竹山悠樹が熱演。昭和六十年に銕仙会で初演されたバージョンだそうです。もちろんここの小劇はとても面白く満足したのですが、前回見たときのこれが無いバージョンでも木葉天狗の相談で十分話の筋は伝わります。全体を一つの芝居として見たときには、無い方がすっきりして私好み。

鳶の姿になった天狗を助ける僧正は福王和幸。扇と数珠を京童にやって鳶を助けます。くらいの高いお坊様と言う感じで床几にかかった上に後ろにはワキ後見が控えています。
山伏姿の天狗がやってきて「あのときはどうも」。高林白牛口二さん1935年生まれとのことで、白髪がきれい。怪しい天狗(名前も狂言方によって違ってくるらしい)の割に上品でございます。

霊鷲山での説法の様子(大会)が見たいと言われ、退場した天狗。子分の木葉天狗たちが出てきて、じゃあ自分たちは装束の安上がりなおびんずる様になろうと可愛らしい。前に見たときには袈裟をかけるだけではなく色々していたような記憶があるのですが、今回は石田幸雄が袈裟をかけてやるだけ。

いよいよお釈迦さまに化けたシテ登場。前シテで拝見した細身の体格からすると、そうとうにあのお姿は苦しいのでは。一畳台の上の椅子に収まるのに一回目は足があがりきりませんでした。
釈迦の両側にアイが座るのも上記の銕仙会バージョンだそうです。
お釈迦様が経を読むときに顔の真前に広げてしまうのはちょっと。

あまりのありがたさに僧正が信心をおこしてしまうと、帝釈天がやってきます。気付いた木葉天狗は茸歩きをして左右に散り散りに。天狗も台から降りてやおら天狗の姿に変身。特に隠すでもなく、後ろを向いただけで後見が一生懸命変身させます。一応帝釈天と戦っては見るものの、岩洞に逃げ込みます。完全に退治されないで、怒られるだけ、というのもこの曲の可愛らしさ。

前に銕仙会で見たときの方がシテが若かったせいか型付けも派手で楽しかった。あんまり80歳に近い偉いシテのやる曲では無いような気がします。
面の二枚掛けは喜多流のもので、ほかの流儀はもともとべし見だけでやっていたのだそうですよ。

シテの面は大ベシ見、釈迦、ツレは天神。


参考は清田弘 能の表現 草思社(このちょっと変わった曲について良く書いてあります。是非。)
by soymedica | 2012-12-09 15:30 | 能楽 | Comments(0)
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