狂言三人三様 茂山千作の巻 野村萬斎・土屋恵一郎編 岩波書店
2003年9月26日 第一刷
既に絶版になっており、アマゾンマーケットプレイスで安く手に入れました(おそらく新品)。茂山千作の舞台は実際に見たことがないのですが、このシリーズのうちでこの本が一番本として面白い。
茂山一家の狂言は「お豆腐狂言」と言われるように、町に馴染んでいるらしい。それは京都という町の大きさによるものではないかな。「月と狂言師」を読むと、こういった芸人を育てた町のお金持ちがいたのだな、とわかります。きっと京都では今でもある程度この伝統がひきつがれているのでしょう。東京では無理かな。
インタビューが最初に出てきますが、肩に力の入らない、「芸術」を語らない人柄が面白い。シリーズの「万作、満斎、千作」のなかで一番年齢が上であるということも一つの要因かもしれません。
最後の方にある権藤芳一の「関西狂言の歴史」、千五郎、正邦、千之丞のインタビューもお勧め。
(この方、もう引退して久しいですが、ラジオのインタビュー番組で聞いたところによると夢の中で狂言を演じていらっしゃるらしいです。奥様が「あら、やっぱりそうだったの」とおっしゃったとか。)