第一回能楽祭 清水、善界

d0226702_23584725.jpg第一回能楽祭
8月16日(木) @観世能楽堂14時20分より
正面席 6000円(高い席を買った人はカクテルパーティー付きでした。覗いてみたかったけれどまあお弟子さん中心でしょうから、そういう券は買わず。)


舞囃子 小督 (金春流) 本田光洋
独吟 隅田川 (下掛宝生流)森常好
一調 八島(喜多流)中村邦生 曽和正博
仕舞 花筐(宝生流)前田晴啓

狂言 清水(和泉流)
シテ 野村萬、アド 野村扇丞

能 善界白頭(観世流)
シテ 観世銕之丞、ツレ 観世喜正
ワキ 福王茂十郎、ワキツレ 村瀬慧、村瀬堤、アイ 善竹十郎
笛 一噌隆之、小鼓 成田達志、大鼓 國川純、太鼓 観世元伯
後見 武田志房、寺井榮、馬野正基


せっかくの第一回なのに何故に平日午後しかもお盆休み中?という疑問はさておいて、休みが取れたので行ってまいりました。とても魅力的な番組と出演者なのに見所は7割くらいの入り。日程設定のせい?
後に述べる抽選会と言い、演目の選び方と言い、かなり普段能を見ない人を意識して作った会だとは思われるのですが、やはり日時と場所、そして宣伝の仕方を考えるべきだと思います。お弟子さんが「今まで能を見たことのない若い人」を連れてきたらチケット安くするとか。


まずは舞囃子の小督から。出だしが物凄く硬かったような気がするのは気のせいか。ツレの本田芳樹の謡って相当に特徴がありますね。面白い。

皆が期待していた(そうですよね)森常好の隅田川。声が良いし謡は綺麗だし、何と言っても間の取り方が凄い。プログラムに「親子関係を知らない船頭として語るのが難しい」と書いていらっしゃいました。堪能しました。

八島は香川靖嗣病気のため中村邦生でした。ピンチヒッターの固さはともかく、曽和正博と中村邦生って、私の耳にはなんとなく「この二人仲が悪いんじゃないの?」と感じられるのはどうしてなんだろう。

花筐の仕舞のときには私ちょっと疲れちゃって残念。


狂言の清水。若干前と違うな、と思ったらやはり前に見たのは大蔵流でした。でも「酒を飲ませる」とか「蚊帳をつってやる」とか約束させるのは同じ。こすっからくってちゃっかり、でも抜けている太郎冠者の野村萬がとても良かった。でも、狂言のときって声を出して笑う人がいるとなんとなく違和感なんですよね、私。落語の時もそう。
太郎冠者の独白に「ここへは太郎冠者、あそこへも太郎冠者といわれても」みたいなものがあったのですが、思わず「ここでも野村萬、あそこでも野村萬出演せよと言われても」に聞こえちゃいました。元気ですよね。


善界。これは宝生、金春、喜多では是界、金剛では是我意、そして鎌倉時代の是害房絵に基づくと小学館の新編日本古典文学全集にはあります。竹田法印定盛という足利義政の侍医の作らしい。そしてこの本には前シテ、ツレは直面とありましたが、両者ともに面をかけていました。

日本征服をたくらむ中国の天狗は次第の謡からカクカクとスラーの無い謡で強そうです。そして日本の悪い天狗とともにドスンとすわり(ここの安座が可愛い)、相談。
「天狗」というのはあくまで仏教界の枠組み中での悪者という設定なので(対立する悪ではない)、いわばいたずらっ子ですよね。

でも、この天狗たちの悪だくみは既に知られていて、アイの能力がそれを知らせる手紙を持って登場。この手紙、今回は萩箒にはさんであるのですが、手紙の持ち方にも色々ありますね。懐に入れたり、それぞれ差出人、受取人、運ぶ人の身分で違うのかとも思いますが、どなたかご存知ですか。
でもこの配達人、天気が悪くなったので、ここで善界坊とあってはたまらない、命あってのものだね、とばかりに帰ってしまいます。

後見が囃子の中、車の作り物を持って登場。ワキ座に横を向けて(車の正面を脇正面に向けて)置きます。ワキは結構背の高い人なので角帽子が天井につきそう。宝生閑や欣哉なら問題なさそうですが。最年長の福王茂十郎も村瀬兄弟もなかなかイケメンでありますので、席は脇正面でもよかったかも。

後シテの天狗登場(日本の天狗も連れてくれば良いのに、一人で来る)。腰帯の模様が金剛杵なのがわかるようなわからないような。そして、勇ましい割には僧侶がちょちょっと御経を唱えると「こりゃだめだ」と帰ってしまいました。めでたしめでたし。この後シテの動きがとてもかわいらしい。パンフレットに「どこかに愛嬌があり憎めない妖怪」とシテが書いていますが、そういう感じでした。DVDにしてもう一度見たい!今回の上演の写真が当たった方がありましたが羨ましい。


上演後には抽選会があって、クッキーや扇はともかく、銕之丞サイン入りの本とか、出演者サイン入りのプログラム、野村萬の色紙(大蔵虎明の言葉を書いたそうです)、能楽協会主催の公演チケットが当たった方がいました。立て続けに脇正面の人が当たったら、後ろのおばさまたち物凄いブーイング「なんで脇正面なの!!ねぇ」…籤を理解していない。
抽選会前の野村萬の理事長としてのあいさつが格調高くて、やはり昔の人だな、と思いました。私もああいうのを目指さなくては。


来年は9月上旬だそうです。
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by soymedica | 2012-08-18 00:03 | 能楽 | Comments(0)
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