ワキから見る能世界

d0226702_162759100.jpgワキから見る能世界 安田登 生活人新書(NHK出版)
普通は能樂関係者の書いた書籍と言うと、「能ってこんなものです」「こんなに楽しいから見に来てね」などと言うテーマが中心に据えられるのですが、この人はそういうこと全く考えない人なのでは。ということで、そういうノリで書かれた本では無いです。

夢幻能のみに絞った論考で、その作品の世界構成になぜ「ワキ」が必要かと論考しています。夢幻能とは異界との遭遇で、なぜそのような遭遇が起こるか、そしてなぜ遭遇するのが「ワキ」なのか、について書いています(どうしてか書くとネタばれのようになってしまうので、書きませんが)。

そして、同時にそれと並行して(というかそれと深いかかわりがあるのですが)周縁的世界、周縁的社会、がいかに能楽と深いかかわりがあるかについても書いています。

この人のホームページなんかをみると、面白いと思ったことを追求して、しかもアカデミズムにこだわらず、そしてそれが職業になっているという幸せな人のようです。どちらかというとルネッサンス人ですね。最初はトンデモ本かと思いましたが、至極まっとうでかつ異色の本です。

現在絶版のようですが、古書で手に入ります。
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by soymedica | 2012-08-11 16:30 | 能楽 | Comments(0)
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