観世会定期能 8月 芦刈、狐塚、班女

d0226702_221422.jpg観世会定期能 
8月5日(日)11時より@観世能楽堂
正面席12500円

能 芦刈
シテ 観世芳伸、ツレ 清水義也、ワキ 館田善博、アイ 山本則秀
笛 一噌隆之、大鼓 安福光雄、小鼓 鵜澤洋太郎
後見 大江又三郎、津田和忠

狂言 狐塚 小唄入
太郎冠者 山本泰太郎、次郎冠者 山本則孝、主 遠藤博義

能 班女 笹之伝
シテ 観世銕之丞、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本東次郎
笛 藤田六郎兵衛、大鼓 佃良勝、小鼓 幸清次郎
後見 野村四郎、上田公威


ちょっと早めに行って芦刈の謡本を買いました。本日は面白そうな演目ぞろいなのに、正面席には比較的空席が目立ちます。

偉い人の雇っている乳母を連れた男登場。乳母が故郷で別れた男を探しに来たとのこと。でも、昔の家にはいなくって、里の人が「面白い歌って踊れる芦売りがいますよ」と言うのを見れば、これは昔の亭主。恥じる亭主に持参の烏帽子直垂を着せ都へ戻る、というもの。芦売りを紹介して夫婦再開のきっかけを作った里の人も都へ連れて行ってもらえます。

現代に置き換えるとあんまり出世欲は無いけれど人が良くて楽しい趣味人の亭主と、そんな亭主を愛しているキャリアウーマンの妻、といった感じでしょうか。時代を越えて、似たような夫婦はいるものだな、と思いました。

「ものの名も所によりて変わるなり 難波の芦は伊勢の浜荻」がモチーフの一つになっているのですが、アイがこれにひっかけて面白いことを行ったようなのですが、聞き逃して残念。

シテの観世芳伸は山階彌右衛門と双子だということで顔はそっくりですが声はこちらのほうが地味。ちょっと物着がバタバタした感じでしたが、後見が装束持ってくるのが遅かったのでは。囃子を何回か繰り返して時間をかせぐ、というわけにいかない物着なのでこういうのは大変です。

明るくて楽しい演目ですね。好きなものの一つになりました。


狂言の狐塚は小唄入というだけあって鳴子(初めてみました)を二人で振る動作と小唄の楽しさで見せるもの。山田の群鳥を追うのですが、夜になっても鳥を追うのか、と思わせる台詞あり。秋の山里の情景が目に浮かぶような舞台でした。
もうそろそろ立秋です。


秋になると用がなくなるのが扇。ということで班女。吉田少将に恋をした野上の宿の遊女の班女。東次郎扮するやかましい女主人に呼び出されても、少将のことを思いぼーっとしています。東次郎の女役って初めて見るのですが、これがとてもはまり役でして、さすがです。そして女主人はぼんやりした班女に怒り心頭、暇を出します。

班女は追いだされてもぼんやり。ここのところの演技が後半の狂いのところとの対比も良く、とても上手い。観世銕之丞って女性の役が上手ですね。形見の扇は誰にも手を触れさせないわ、などの思いつめた仕草もかわいらしい。

追いだされたあとで、狂女となって舞台に登場するのですが、これが脱下げにしただけではなく、着物まで変えてくる。ちょっとぜいたく。
ところで、形見に扇を取り交わしたというからには班女の持っている扇は男物のはずなのですが、これがとても派手。そういうものなのでしょうか。

めでたく二人の恋人は再会するのですが、まあ、能ですからひしと抱き合うわけではなく、でも「よかったね」と言う感じで退場したのでした。


このあと蝋燭能の安達原だったのですが、所用で見られず、残念。
ハッピーアワーの為に何人か1時半から並んでいらしたのですが、ここでちょっとしたトラブルが。並ぶ場所が良く分からなかったおじいさんが「まったく、しっかりしてくれなくちゃ困るよ。1時間半もかけてきてるんだから」と怒った挙句、並ぶ場所を見て「こんなところか!俺はもう73だよ、こんな日向に並ばせて殺す気か!」と、大声で喚き始めた。…確かに手際が悪くて並ぶ場所ももう少し考えたほうが良いとは思うのですが、73にもなるんだったら文句の言い方ももう少し洗練されてきても良いのではないのでしょうかね、お爺さん。

そしてさらにマナーと言えば本日は時計のアラームは鳴るし、狂言小唄の最中に携帯は鳴るし…。パルコ劇場では休み時間の後に劇場係員が数人肉声で「携帯を切ってください」と言ってまわっていました。ああいうほうがインパクトありますよね。先日国立に遅れて駆けこんだときには案内の人が「お客様、こういうときには忘れがちですが」と、一緒に走りながら注意してくれました。感謝。
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by soymedica | 2012-08-07 22:26 | 能楽 | Comments(0)
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