第十回興福寺勧進能第一部 附子 歌占

d0226702_20482740.jpg第10回興福寺勧進能 第一部
@国立能楽堂 7月21日12時より
正面席9000円(?)

お話 馬場あき子

狂言 附子
太郎冠者 野村万蔵、次郎冠者 野村扇丞、主 炭光太郎

能 歌占
シテ 浅見真州、ツレ 武田宗典、子方 武田章志
笛 松田弘之、小鼓 大倉源次郎 大鼓 亀井忠雄
後見 小早川修、馬野正基


ロビーにお土産物屋さんが出ているのも、いつもの本屋さんの場所が空いているのも変な感じ。最初に「多川でございます…。」と、袈裟の人がご挨拶。あ、「勧進」だったんだ。ちゃんとどの様に改築などが進んでいるかの報告をなさっていました。

馬場あき子さんのお話も舞台の下で。ちょっと面白かったところを拾うと、かぐや姫伝説や、物狂いの笹などに象徴されるように昔空木や竹など中空のものには何かが宿っていると信じられており、占いにも使われたそうです。本日の占いは弓にかかっている短冊の歌を引いて占うものですが弓→引けば当たる、という連想だそうです。
前半の歌占でめでたく父子再開を果たすのですが、後半の見せどころはクセ舞。テーマはクセ舞の特徴として最初と最後に繰り返される「月の夕べの浮雲は後の世の迷いなるべし」で、二段グセとなっているのも特徴。
当時の人は極楽に行くのは大変だと思って、どうせ地獄に行くのだから行く前に予習を、と思って地獄のありさまを聞くのが好きだったのですよ。大笑い。

さて、附子。前回はたぶん石田幸雄で見ている。同じ和泉流ですからほとんど違いはありません。万蔵、扇丞のコンビも楽しい。

いよいよ歌占。実はこの曲目当てで浅見真州目当てでは無い私。まず、子方を連れて加賀の白山の里人登場。でも、謡がとても立派。武士のよう。
良く当たる占い師登場。直面が建前だけれど、シテが年寄りなら若い男の面をしても良いとのことですが、今回は面無し。出だしの謡が聞き取りにくく、今回詞章を持って来なかったので不安になりました。
親子の対面もクライマックスではないので、さらさらと進みます。シオったりはするのですが、あんまり雰囲気として悲しそうではありません。

そして「じゃあ、子供を連れて帰るか」となったところで里人が「記念に地獄のクセ舞」を見せてほしい。というので、ここからが見せ場、なのですが、言葉に漢語が多くて難しいのと、地謡が迫力に若干欠けるのとで、残念ながらあまり印象的な舞台にはなりませんでした。私の周囲には船をこぐ人もちらほら。
私もだんだん疲れてきて立廻では扇の模様は鮎かな、などと…。そして、我を忘れて地獄の苦しみを見せると、ふっと我に返って「じゃあね」と子方を連れて帰ります。

今一つ乗り切れなかったのは、言葉が大切な曲なのに良く聞き取れなかったのが原因でしょうか。名人と言われる浅見真州ですが、実は私にはあんまり凄さが分からないです。ちょっと政治家なところがある人のようなので、能楽発展のために頑張ってほしいですが。

下掛においてはツレのやった里人の役はワキ方がやるのだそうです。こちらも是非見てみたい。

来年の勧進能は7月20日(土)。


参考:
能の表現 清田弘 草思社
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by soymedica | 2012-07-23 20:51 | 能楽 | Comments(0)
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