国立能楽堂普及公演 重喜 兼平

d0226702_2281824.jpg国立能楽堂普及公演7月 
7月14日(土)13時より
正面席

解説・能楽あんない
兼平と義仲、そして巴 佐伯真一


狂言・和泉流 重喜
シテ 野村萬、子方 野村眞之介

能・金剛流 兼平
シテ 種田道一、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、則久英志、アイ 小笠原匡
笛 寺井宏明、小鼓 幸正昭、大鼓 守家由訓
後見 松野恭憲、豊嶋幸洋


能楽堂の中で食事。大きな団体さんがいると見えてものすごく混んでいる。前に座ったおじさんの持っている袋が芸大美術館グッズ。私もそれ、持っています。便利ですよね、と心の中で呟く。隣のおじいさんは「ご招待」とハンコの押してある封筒を持っている。訳もなく尊敬。


さて、解説は青山学院大学の先生らしい。「兼平」という能は「巴」とともに平家物語の木曽最後からとられたものであるけれど、巴よりも原作に忠実とのお話から始まります。義仲は南からは義経、東から範頼に攻められ、敵が最も多いと知りつつ瀬田に向かう。なぜなら、信頼していた乳兄弟の今井兼平がいるから。
そして結局兼平の心遣いもむなしく、木曽義仲の最後は理想から程遠くなってしまうのですが、それを越えて互いを思いやる絆の強さがより読者、観客を感動させるのです、というお話。
この曲には平家の武将の話につきものの、笛とか桜などの風雅は全くなく、ひたすら忠義を扱ったものですが、そこもまた感動させるポイントでは、と。

そして同じ木曽最後を扱っていても、「巴」には兼平のかの字も出てこないし、兼平には巴は出てこない。巴は平家滅亡周辺の話として各地に流布していた伝説を取り込んで作られた話しではないか、とのことでした。


この先生のお話は上手だな、と思い能を見る前から感動。そこへ、重喜登場。ちゃっかりしている上にうっかりものの重喜にやむなく頭を剃らせる羽目になった住持。子方の可笑しさ、達者な芸に萬は完全に喰われて嬉しそう。後ろにずらりと座った地謡が大真面目で謡うのも面白い。あんまりひねりのある話ではないので、子方の可愛さで見せるものなのでしょうね。
なお、頭は剃る前によく揉んでおくものだそうです。

と、ほっと一息ついたところで兼平。地謡の平均年齢が高そう。
ところで、いつもは地取のときに囃子って演奏していましたっけ?そして船の作り物が出されるのですが、なぜか一声の囃子とともに出てくる。いつもそうでしたっけ??

柴舟を漕いできた老人に旅の僧が声をかけて乗せてもらいます(可哀そうなことにワキツレは乗せてもらえない)。この老人は本当にただの地元の老人といった風で、名所教え何ぞをしただけで消えてしまう。訳ありげでないところも、武将というより名のある武将を陰で支える乳兄弟といった感じがよく出ています。

そして、アイの渡守が登場。「今日の船頭は自分しかいないはず。誰に乗せてもらった?そんな船頭がいたとしたら幽霊に違いない」と。

そして兼平の幽霊登場。兼平は義仲になったり、兼平になったり急がしい。太刀を咥えて馬から落ちて自害する、という勇壮なところがクライマックスなのですが、先ほどの解説に影響されたのか、「兼平が行くへいかにと遠近の跡を見返り給えば」のところが印象にのこりました。

地味な演目なのに楽しかった。でも、今度見るときには筋を追うのではなく、もっとじっくり楽しめると思う。やっぱり予習が大切。


参考は
平家の群像 物語から史実へ 高橋昌明 岩波新書
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by soymedica | 2012-07-17 22:14 | 能楽 | Comments(0)
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