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能と唯識 岡野守也

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能と唯識 岡野守也 青土社
1994年10月11日第一刷発行

筆者は仏教と心理学を追求している人らしい。もともとキリスト教の牧師だったとか。

私は唯識と言う言葉だけは聞いたことがあるという状態でこの本を読み始めたので、唯識の理解はこの本から覗いただけ。そこから推察するに、唯識とはユングみたいなものだけれど、個というものはあまり意識されない仏教思想らしい。

で、この人は歴史的考察といくつかの能―邯鄲、采女、江口、卒都婆小町、松風、求塚、実盛、玉蔓―を通して、世阿弥は唯識に関する知識が相当にあって、それを劇作に投影させていると考察している。世阿弥が経済的に依って立っていた興福寺の主たる教学である唯識を使って布教の役に立とうとしていた、とする本。

論文を目指しているのかもしれないけれど、素人の私にも若干の弱点が指摘できるので、一般書と考えるのが妥当かもしれません。でも、こういう能の見方も面白いと感じられる本です。
by soymedica | 2012-07-01 00:01 | 本・CD・その他 | Comments(0)
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