銕仙会定期公演6月 頼政、富士松、胡蝶

d0226702_20521731.jpg
銕仙会定期公演6月
6月8日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席6000円

能 頼政
シテ 観世清和、ワキ 森常好、アイ 野村扇丞
笛 中谷明、小鼓 曽和正博、大鼓 安福建雄
後見 浅見真州、北波昭雄

狂言 富士松
シテ 野村萬、アド 野村万蔵

能 胡蝶
シテ 鵜澤光、ワキ 村瀬提、ワキツレ 村瀬彗、矢野昌平、アイ 吉住講
笛 一噌庸二、小鼓 亀井俊一、大鼓 佃良太郎、太鼓 梶谷英樹
後見 観世銕之丞、清水寛二


またまた駆け込みセーフの時間の上、かどの柔道着屋(?)のところでほぼ1年ぶりくらいに会う高校時代の同級生とぱったり。

頼政。とても有名ですし、この曲専用の気持ちの悪いお面があったりと、期待していたのですが、局自体の構成は考えていたのより地味なものでした。もっと派手な後場を想像していたので。でも、前場の名所教(?)などは観世清和&森常好が気持ちの良い謡で盛り上げて良かった。

せっかく幽霊になって出てきた頼政に、平等院の場所も訪ねてあげない旅の僧。待ちきれなくなって自ら平等院を案内し、扇の芝に気付かせる。そして、「私は頼政の幽霊」と言って去っていく。

アイの語る物語は前場の要約ではなく、馬に焼印を押す因縁話。平家物語のあらすじだけは読んだのですが、昔の武士って、嫉妬深いし、抜けがけ,夜討ち、寝返り、何でもありだったのですね。やっぱり実際に戦闘をしていない江戸時代の武士とは大違い。

さて、頼政登場。法体に甲冑というこれまた現代人には理解不能な…。(74歳で良い歌を読んで清盛に昇進させてもらったところで病気になり、出家。その翌年に以仁王をかついで挙兵した、と馬場あき子さんの本にありました。)
「あなたは頼政の幽霊ですね」といわれて、「いや、わかりますか、お恥ずかしい」。だってさっきこれみよがしに頼政の幽霊だって言っていたじゃないの。…現代の売れない芸能人のようで哀しい。

さすが観世流家元だけあって、何の文句のつけようもないのですが、いま一つパンチに欠けたような。地謡が大人しかったせいかもしれない。特に前場は非常に抑えた感じでしたから。
最後、笛がいま一つでしたね。


狂言の富士松。これは通向きすぎてよく分からなかった。連歌の頓知や掛け言葉が聞かせどころなのですが、これが私にはわからない。
(主人) 手に持てる かわらけ色のふるあわせ
(太郎冠者) さけごとにある つぎめなりけり
表の意味は古いかわらけに酒を注ぎ注ぎしている、裏の意味はかわらけ色の古着で近所で買ってきた安酒だろう、だそうです。まあ、こんな調子で連歌が続くのですが、最後のおちの連歌がよくわからなくて残念。(見所の大部分の人がそうだったのでは)。
そのうち狂言の台本をどこかで手に入れなくては(売っているのかな)。


さて、胡蝶。村瀬堤と彗、遠目には親子なんだか兄弟なんだかよく分からない(遠目だと、後見の清水寛二が青年に見えたし)。そしておそらく福王流(?)と思われるのだけれど、今回何だか調子が宜しくなかったのか若干びっくりするようなところもありました。単に節付けが私に心地よくないものだったのかも知れませんが。

梅の花のきれいな作り物が正先に出されます。可憐なお嬢さんが現れて、美しい言葉で語ります。面の選択と言い(これは故観世栄夫が銀座の骨董屋で購入したものだと、柴田稔のブログにありました)、小柄なシテの体格と言い、とにかく可憐。残念なことに私は真正面の席だったので、シテの姿はちらちらと梅の陰に見え隠れ。それもまた風情。

女性の能役者と言うと、女性としては太い声のひとが多いように思うのですが、この光は高くて艶のある声。そして上手い。言っても仕方のないことだけれど、もう少しがっちりタイプの女性なら良かったのに。まあ、小柄なのはこの演目には利点かな。

アイの吉住講が「あなた(ワキは三吉野の山奥から出てきた僧)が見たのは蝶の精でしょう」と言うようなことを語る。あまり主張しない感じの語りが曲に合っています。

さて、後シテ登場。頭のてっぺんに蝶の飾り物をつけています。袂を握り込んでまうところが蝶の羽のよう。いつも舞は飽きてしまうのですが、今回面白く見られました。


胡蝶はなかなか取り上げている本がありませんので、今回は半漁文庫の詞章にお世話になりました。頼政は色々な本に取り上げられていますが、「能 よみがえる情念 馬場あき子 檜書店」が良かったです。
[PR]
by soymedica | 2012-06-11 20:58 | 能楽 | Comments(0)
<< 国立能楽堂普及公演 千切木 鐘馗 第六回日経能楽鑑賞会 文荷 隅田川 >>