第5回 萬歳楽座公演 安宅

d0226702_2243162.jpg

第5回 萬歳楽座公演
4月5日(木)18時30分より@国立能楽堂
正面席12000円

一調 杜若 大槻文蔵、太鼓 観世元伯
一調 是界 観世銕之丞 太鼓 金春國和


安宅 勧進帳 貝立貝付 延年之舞
シテ 観世清和、
子方 藤波重光、
ツレ 浅見重好、津田和忠、山階彌右衛門、関根知孝、藤波重彦、上田公威、藤波重孝、観世芳伸、岡久広
ワキ 宝生閑、アイ 山本東次郎、山本泰太郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 片山幽雪、武田宗和、坂口貴信
地頭 観世銕之丞


ちょっと早く着いたのでロビーのソファに腰掛けていたら着物の変なオバさん(後ろ姿を見たら帯がぐしゃぐしゃ)が、向かいのソファで飲食。若干周囲を見回す目つきに気になるもの有り。ヨーグルトとおにぎりって変な組み合わせだなと思いつつ見るともなしに見ていました。そのわきで二人連れのごくごく普通の上品なご婦人が普通の声でお話していたら、変なオバさんその二人に向かい、「ここは喫茶店じゃありませんよ。お声が高くって本当に迷惑しますわ。クドクド…。」???どこにでもちょっとおかしな人はいるけれど、能楽堂で出会うとは。おそらく何かの認知症をきたす疾患の初期。友人の神経内科医だったら何か適当な疾患名をつけるに違いない。

一調の前に、観世元伯と金春國和を並べたわきで太鼓について藤田六郎兵衛が説明。台はこうなっています、と見せてくれました。紐のことは「しらべ」というのだそうで、麻製。胴はケヤキ、バチはヒノキが多いそうです。そして流派による掛け声や構えの違いを見せた後、観世喜正が二つの太鼓(連調では無いですよね、流派が違うから)に合わせて西王母のキリを謡ってくれました。どちらかと言うと観世に金春が合わせたふうでした。観世喜正、謡うのは大変に難しいと言っていました。

ついで一調。大槻文蔵で意外にサラサラとした手触りの謡。是界は観世銕之丞が良かったのはもちろん、これは謡として面白い。


そしていよいよ安宅です。ものすごい豪華メンバー。勿体を付けずに富樫の某が登場した後、これもまたすーっと子方登場、とおもったら弁慶、それにものすごい数の郎党がついてくる。これが謡うのだから迫力満点。地謡より数が多い。いったいプロの役者は何人くらいまで同吟して聞かせられるのだろう。この9人の郎党のバレーの群舞のような同期する動き、謡、が舞台の面白さを引き立てます。
とってもとっても残念なことに私の席からは最初のうちは東次郎が見えなかった。舞台構成からして正面席をとったのは正解だったとは思うけれど、これは残念。

しかし、観世清和、やけに気品のある弁慶です。田舎侍と言うイメージでは無い。演技だけでなく、装束も金色の大口ですもの。きっと昔の人の考えた義経・弁慶はこういう感じだったのでしょうね。

色々な小書きがついていますが、「貝立」では新関の偵察に行った強力の東次郎が戻ってきて、シテの扇をホラ貝に見立てて吹く。ところで、本当のホラ貝ってどんな音がするのでしょうか。

勧進帳。三読物の一つとして名高いそうですが、読んだ感じとしては正尊のほうが面白かったかな。大仏再建かー、と思って聞いていました。読みながらシテとワキがちょっとずつ動くのが、緊迫感を高めます。

主人の義経を殴りつけるなんて演技をしてやっと新関を通ると、富樫の某が追いかけてきて酒宴になる。ここでシテは舞の前に扇を投げる演技をします。この扇、金地で一方に松、一方には万年青かと思われる絵が書いてあります。
舞(延年之舞)が素晴らしかったです。数珠をぐるぐる回してカウボーイの様。力強く足拍子を踏んだり、飛びあがったり。何かをするときに身体の縦の軸がまっすぐなのは舞踊一般に共通なのでしょうか。(日本舞踊は見たこと無いのですが、)モダンダンスやバレーと同じだな、と。
そして、酒宴のどさくさにまぎれて主従は東北へと逃れて行くのでした。

…ところで、富樫の某は、一行が義経・弁慶であることを知っていたのでしょうか。

国立能楽堂の舞台の下には伝統的な甕ではなく、木材を立てたりして音響に工夫がなされていて、しかもそれを調節できるようにしてあるのだそうです。ところが残念なことに施行当時の職人さんがもう居なくなってしまったのでどのように管理したら良いのかわからない、と言う話です。

山伏。いまでも健康を兼ねて活躍しているそうです。二次大戦後間もなく、山伏の集会が開かれて、米軍は「サムライの集会か?」と緊張したという話が、司馬遼太郎の「街道を行く」にちょこっと出てきます。
[PR]
by soymedica | 2012-04-06 22:10 | 能楽 | Comments(0)
<< 第六回香川靖嗣の会 川上 安宅 二十五世観世左近二十三回忌追善... >>